全国のJR普通・快速列車が乗り放題になる「青春18きっぷ」が大幅に改定された。利用者からは「改悪だ」という不満の声が上がる。鉄道経営の専門家は「利用者とJRの思惑が離れてしまった」と指摘する。
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鉄道ファンは「改悪」「悲しい」
10月下旬、JRグループが青春18きっぷの改定を発表するや、JRの公式SNSには鉄道ファンの怒りの声が次々に書き込まれた。
「これは完全に改悪!」
「日帰りや1泊旅行での利用はお断りですか」
「あなた方、JRの職員はこのきっぷを買うでしょうか」
「悲しい。家族一緒にプチ旅行もできなくなりました」
「青春18きっぷ」は40年来の人気
青春18きっぷは40年あまりにわたり、根強い人気を誇ってきた。
最初の発売は1982年、日本国有鉄道(国鉄)の「世代別商品」として「青春18のびのびきっぷ」が登場した。国鉄全線の普通・快速列車の普通車と連絡船の普通船室が利用できた。1日券3枚と2日券1枚の計4枚で、8000円。有効期間は3月1日~5月31日。
年齢制限は設けなかったが、ネーミングには「若者にローカル線にのんびりと乗ってもらおう」という意図が込められていた。「名称が長すぎる」という声が上がり、翌年「青春18きっぷ」に改名された。87年に国鉄はJRに分割民営化されたが、青春18きっぷはJRグループに引き継がれた。
フレキシブルな使い方できなくなった
現在、青春18きっぷは春季・夏季・冬季を利用期間として発売されている。この期間内であれば、1日乗り放題をばらばらな日に5回できた。また、5人のグループ旅行で1日分として同時に使うこともできた。
ところが、今回の改定で、1人で5日間もしくは3日間の連続使用しかできなくなる。11月26日から販売される冬季用から適用され、利用期間は12月10日から来年1月10日まで。5日間用は1万2050円、3日間用は1万円だ。
青春18きっぷの改定はこれまでも行われてきたが、「今回の制約はとても大きい」と、鉄道ライターの小林拓矢さんは話す。
「1人の連続使用に限られたうえ、購入時に利用開始日を指定しなければならない。とりあえずきっぷを買っておいて、『休みがとれたら出かける』というフレキシブルな使い方ができなくなりました」