昔から、年配の人が「民放は騒がしい番組ばっかりだから、家ではいつもNHKをつけている」と言うのをよく聞いた。自分が若い頃はそんなものかと思っていたが、今ではその気持ちもわかる。民放は営利企業だから良くも悪くも商業主義のところがある。いかなる手段をもってしても視聴者の首根っこをつかみ、テレビの前に釘付けにしなければいけない。そのためにあれこれと派手な演出が用いられたりする。
『ふしぎ発見』も民放の番組である以上、そのような原理原則のもとに作られているはずなのだが、一定のラインをはみ出して下品になりすぎることはなかった。いつも節度が守られていた。そういうところが長年にわたって多くの視聴者に愛されていた要因だろう。
この番組では、黒柳のクイズ正答率があまりにも高いことから「答えを事前に教えてもらっているのでは」という噂も流れた。だが、これは間違いだった。彼女はテーマだけを事前に聞いて、収録日までに関連資料を読み漁り、情報収集をしていた。それが正答率の高さにつながっていたのだという。
勉強熱心な黒柳は正しい「教養」のあり方を身をもって体現している。好奇心旺盛な彼女にとって学ぶことは純粋な楽しみであり、喜びだった。
TBSの看板番組だった『ふしぎ発見』は、そんな彼女が本気で向き合うに値するクイズ番組であり、清く正しい本物の教養バラエティ番組だった。レギュラー放送が終わってからも特番として番組は続くようなので、今後も末永く見守っていきたい。(お笑い評論家・ラリー遠田)