うめず・かずお/1936年生まれ。小4から漫画を描き始め、高3のとき『別世界』『森の兄妹』を出版しデビュー。『漂流教室』で小学館漫画賞を受賞。タレントや歌手、映画監督など多ジャンルで活躍(c)楳図かずお
うめず・かずお/1936年生まれ。小4から漫画を描き始め、高3のとき『別世界』『森の兄妹』を出版しデビュー。『漂流教室』で小学館漫画賞を受賞。タレントや歌手、映画監督など多ジャンルで活躍(c)楳図かずお
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「漂流教室」や「まことちゃん」などホラーからSF、ギャグ漫画まで幅広く手がけた人気漫画家の楳図かずおさんが10月28日亡くなったことが、11月5日にわかった。88歳だった。数多くの作品をこの世に残した楳図かずおさんが、新作をメインにした展覧会を開いたときの過去のインタビューを振り返る(「AERA dot.」2022年2月21日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)。

【写真】楳図作品『わたしは真悟』とその続編はこちら

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恐怖漫画のレジェンドである楳図かずおさんが、27年ぶりの新作をメインにした展覧会「楳図かずお大美術展」を開く。楳図さんに展覧会への思いを聞いた。AERA 2022年2月14日号の記事から。

──芸術家として初の展覧会ですね。

「僕はもともと芸術家のつもりですが、みなさんの認識は漫画家だと思うんです。漫画では一番上に上ってきたな、という自負はありますが、さらに『わたしは真悟』で、悟(さとる)と真鈴(まりん)が東京タワーのてっぺんから飛ぶイメージでもう一歩飛んでみようと、絵画に挑戦しました」

──27年ぶりの新作に取りかかったきっかけは?

「はたと『あ、やらなきゃ!』と思った瞬間がありました。2018年にフランスのアングレーム国際漫画祭で、『わたしは真悟』が賞をいただいたことも理由のひとつです。それから4年間、じっと描き続けました」

【わたしは真悟】
楳図作品の最高傑作ともいわれる。楳図さんは本作で第45回アングレーム国際漫画祭「遺産賞」を受賞(photo 楳図かずお大美術展製作委員会提供)
(c)楳図かずお/小学館
【わたしは真悟】 楳図作品の最高傑作ともいわれる。楳図さんは本作で第45回アングレーム国際漫画祭「遺産賞」を受賞(photo 楳図かずお大美術展製作委員会提供) (c)楳図かずお/小学館

──なぜ101枚の絵画という方法を選んだのでしょう?

「漫画でも絵画でもない、新しい表現を目指しました。創作とは常に新しいことをやらないと意味がないと思うんです。今回は漫画と絵画、両方のいいところを取り入れてみようと。漫画というものは連続体なんです。つなぎの芸術。コマが続いていってストーリーになっていく。いっぽう絵画は単体の芸術で、ひとつひとつがクライマックスです。今回の101枚の作品はつながってもいるけれど、ひとつを取り出してみても『クライマックスだな』とも思えるように描きました。それに額縁にも注目してください。僕の好きな緑と赤を使って、かなり大胆だと思います。僕は額縁も芸術の一部と捉えているんです」

──絵画制作のおもしろさはどんなところにありますか?

「コピーや印刷物ではなかなか表現しにくい、金や銀の色を使いたかったんです。普段なかなか使わない色なので、絵の具や色の楽しさをとても感じながら描きました。絵を描いているとすごく心が落ち着くんです。精神を整える作業には写経などもあるけれど、絵を描くことにも同じ効果があると感じました。奇麗な色に触れて、それだけで別の世界に入っていく気がする。特に『オペラ』という名前のきれいなピンク色が素晴らしくて、絵のなかの女の子のスカートをみんなそれで塗りました」

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