西からやってきた梅雨前線もどんどん北上し、関東圏にまで達しました。
いよいよ本格的な梅雨シーズンの到来! そして、6月といえば「梅仕事」の時期でもあります。
スーパーなどでよく見かける青梅。紀州産のものなどは大きく立派ですが、中にはサイズの小さな小梅があります。
実はこの小梅、小さいながらも結構いい仕事をしてくれるって、ご存じでしたか?
今回は同じ梅仕事でも、目立たない小梅にスポットを当ててご紹介します。
鈴なりに実をつける甲州小梅
小梅と言えば、甲州小梅が有名ですよね。山梨県では甲斐市で栽培が盛んです。
甲斐市敷島には「梅の里」と呼ばれる畑があり、近くには「クラインガルテン」(ドイツ語で小さな庭)という滞在型市民農園もあります。
文字通り“鈴なり”に実がなる甲州小梅は味がよく、サクランボやリンゴなどとは違って軸なしで、直接実が枝についているので、ポロポロとおもしろいように収穫できます。子どもでも収穫できる枝から梯子が必要な高さまで、一本の木にびっしり実がついています。
この甲州小梅、小さいから食べるところが少ない……なんて思ったら、大間違い!
確かに大きな梅に比べれば果肉は少ないですが、一口でパクっと食べられる手軽さと酸っぱさがちょうどいいのです。しかも小さい分、漬かりやすいので加工しやすい、という利点もあるんですよ。
まずは下ごしらえから
青いうちに収穫した小梅は、フレッシュなうちに加工するのがオススメ。
さあ、梅仕事の始まりです!
まずは流水で汚れを落とします。ザルにあげて水気を切りますが、水気が残っていると腐敗しやすいので、ペーパータオルなどでしっかり拭きましょう。
次に、ホシ(ヘタ)を竹串などで丁寧にひとつずつ取り除きます。ちょっと根気のいる作業ですが、キレイに取れれば気分も爽快! がんばって作業してくださいね。
ここまでできたら、下ごしらえは終了。さあ、何を作りましょうか。
ビールのおつまみや箸休めにピッタリのレシピ!
小梅だからこそ、ぜひトライしてほしいのが「カリカリ梅」です。
よく聞くネーミングですが、一般的に見かけるのは、赤いシソで漬けたもの。
ここでは甲州小梅農家の一押し、簡単で美味しいレシピをご紹介します
<材 料> ※分量はビンの大きさに合わせて適量
・小梅
・塩昆布(市販の細切りにしたもの)
・醤油
<作り方>
①熱湯消毒したビンに小梅を入れ、その上に塩昆布、小梅、塩昆布……と、小梅と塩昆布をミルフィーユ状に入れる。
②醤油をビンの3/4ぐらいまで注ぎ、蓋をする。
③上下にシャカシャカと揺すったら、冷蔵庫で保管。
④3~4日後には食べられますが、1週間以上置くとしっかり漬かります。
これがビールのおつまみにぴったりの、止まらない美味しさ!
子どもたちはおやつ代わりにカリカリ食べること、間違いなしです。箸休めやお弁当にも使え、とっても簡単なのでぜひお試しあれ!
ちなみに、漬け汁も梅味の効いた薄味のお醤油として利用できるので、お料理をさっぱり仕上げたい時などにどうぞ。
小梅でも梅酒、そしてジャムが作れます!
また、小梅でも梅酒が作れます。小梅の数は多く必要になりますが、作り方は大きな梅と同じ。3ヵ月経てばあっさりと軽い味わいに、1年も経てばコクのある立派な梅酒が出来上がりますよ。
漬けた小梅はそのままにしておくと梅酒が濁ることがあるので、1年ぐらいで取り出すのがベター。
梅酒から取り出した小梅、どうしますか? そのまま捨てるなんて……もったいない!
ということで、コクのある梅ジャムはいかが?
煮ることでアルコール分は抜けるのでお子さんでも召し上がれます。
<作り方>
①引き上げた小梅を一度茹でこぼしたら、保存袋に入れて一晩冷凍。
②翌日、ホーローの鍋に好みの分量のお砂糖と一緒に弱火で煮る。
③実が柔らかくなったらスイッチオフ。
④粗熱が取れたらザルなどで濾(こ)して種を除けば出来上がり。
トロトロのゆるい状態ですが、熱湯消毒したビンに入れて冷蔵庫で保管すると、固まってきます。
パンに塗ったり、ヨーグルトに入れれば爽やかな甘さ。クラッカーにクリームチーズを塗った上にトッピングしても美味しい! いろいろ使える梅ジャムになります。使うお砂糖の種類によっても味が変わるので試してみてくださいね。
── 最近は小梅もスーパーなどで手に入りやすくなったので、ぜひ手作りに挑戦してみてはいかがですか? 漬けた後、食べるまでにはちょっぴり時間がかかりますが、その待つ時間も楽しいもの。
健康によい梅のエキスをたっぷり摂取して、この夏を元気に乗り切りましょう!