ーー『秋望』もきわめて詩的な表現手法の曲ですが、「ガザ」や「ウクライナ」といった言葉が出てきてドキッとします

「國破れて 山河在り」……唐の詩人・杜甫が歌った『春望』を参考にしました。タイガースは1968年に『ヒューマン・ルネッサンス』という反戦歌を主体としたアルバムをリリースしています。当時はベトナム戦争の影響で、若者たちが平和についてとても真剣に考え、議論した時代でした。50年以上が経ち、世界が変わらず戦火につつまれているというのはとても悲しいことです。かつて反戦を叫んだ世代としてなにか発信しなければいけないと思い、作りました。

死ぬまで、言うべきことは言い続けたい

ーー貴重な発信だと思います。これだけ危機的な状況でも昔のような反戦の声はなかなか聞こえてきません

 同世代ではさまざまなミュージシャンや論客がいたはずなんですけどね。彼らにとって反戦はもうリアルではなくなってしまったのかもしれない。でも僕は死ぬまで、言うべきことは言い続けたいと思います。ザ・フォーク・クルセダーズの北山修さんとか今どんなことを思ってるんだろう? なかなか機会がないけど、久しぶりに会ってみたいですね。

ーー3月に「EXシアター六本木」(東京都港区)で開催したライブ「瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2023-2024! 結成10周年」のDVDが発売されました。二十二世紀バンドとの演奏はもちろん沢田さんや森本タローさんと一緒に歌う姿も収められ、大反響のようです

 当初は配信だけのつもりだったのですが、思った以上に反響がありDVD化しました。そうと決まっていたらもっと歌詞を間違えないように気をつけたんだけどな(笑)。でも、10年続けてきた二十二世紀バンドや、その結成を助けてくれた沢田やタローと一緒にやれた思い出が形にできたことはうれしいですね。

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沢田研二はステージにかける並々ならぬ情熱がある