金子恵美さん(かねこ・めぐみ)/1978年生まれ。新潟市議、県議を経て、2012年に衆院議員(新潟4区)。16年に総務大臣政務官。19年、政治家引退を発表。現在は企業顧問、テレビコメンテーター(写真:Kohji Hakamada)
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 10月27日投開票の衆院選自民党は過去最多の女性候補を擁立したが、実態はどうなのか。元衆院議員・金子恵美さんに聞いた。AERA 2024年10月28日号より。

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 今回の衆院選で、自民党は過去最多の女性候補を擁立しましたが、中身は物足りないと感じています。その理由は、他党と比べると女性候補の割合は低く、小選挙区から立候補する女性候補者は今回も少ないままだからです。

 自民党(他党も含めて)は原則的に現職を優先する考えを持っています。だから現状として小選挙区にいる現職の男性を外してまで、女性候補を立てようとはしません。そこで、「女性議員を増やそうとしている自民党」をアピールするために比例単独候補の名簿に女性候補者をかき集めてきました。その候補者名簿を見ると、自民党の女性党職員の名前が多数ありました。まさに「かき集めてきた」という印象です。また、私にも「また国会議員をやらないんですか」と、やんわりとした問い合わせが自民党からありました。急な話ですので、私は丁重にお断りをしましたが、以前より応募の意思のある方々は飛びついたことでしょう。自民党は刷新感を演出するために必死になって女性の候補者を探していたのだと思います。

 しかし、普段から優秀な女性を探す努力をしていたのかというと、不十分だと思います。積極的な募集活動・募集運動を女性局は行っていましたが、党全体として運動を行っていません。また、国会全体でも男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法」という法律はありますが、男女の数を均等にするのは努力義務です。現状の法律では義務化されていないため、努力義務の限界とも言えます。

スカートはかなかった

 私が地方議員だった頃、消費者行政の質問をしたら、年配の男性議員から「野党のような質問をするんじゃない」と言われました。国会議員になってからも、建設会社の社長に「公共事業のことわかるの?」と聞かれました。「女性はインフラ系はわからないだろう」と頭ごなしに言われたこともあります。古い考えを持っている業界の経営者の中ではどこか「女なんて」と思っているのでしょう。

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強い政治家像を見せようとしていたちょっとした努力