著者の最新作『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』

 そもそも弱っている姿勢を、わざわざ他人に見せることでプラスになることは、ほとんどありません。

 もしも、こうした弱みを見せる相手が、あなたが心の底から信頼できる友人や、カウンセラーであれば、問題はないと思います。

 一方で、自分の同僚や部下、知り合いくらいの人、SNS上の友達など、不特定多数に向けて、「自分は弱っている」と発信するのは、何を意味するのでしょうか。

 仮に、あなたがかかわりの薄い人から「自分は弱っている」とアピールされたときには、どう思うでしょうか。

 最初は頼ってくれたことが嬉しくなるかもしれません。それは、弱っている人にとって、自分が大切な存在であると認められた気がするからです。

 でも、不特定多数の人にも弱っている姿を見せているとわかったらどうですか。

 親身に心配してあげたことなどがバカバカしく思えてきて、なんだか残念な気持ちになると思います。

 それどころか「この人は精神的に不安定だ」と思ったり、「もう真面目に相談に乗ってあげなくてもいいや」と考えたりしてしまうかもしれません。

 だから「弱みを見せる」なら、それを誰に向けて行うのかを意識してみましょう。

 なお、自衛隊では「指揮官は不安な顔をしてはいけない」という教えがあります。

 これは隊員が不安になったときは、みんな指揮官の顔を見るからです。

 そのときに指揮官が不安そうな顔をしていると、部隊全体の士気が低下します。
 

 また、かつての私の指揮官だった方の中には、明らかに道を間違えていても「あっ、間違えた」と顔にすら出さず、「全て計画通り」と正しい道に戻る人さえいます。

 すると、指揮官は内心では焦っていたとしても、堂々としていれば周りの人には「何か策をめぐらせている」という判断になります。

 たしかに、辛いときは「弱音を言う」とか「悩みごとを相談する」などのアクションは心を軽くするために大切なことです。

 しかし、弱みを見せることはリスクも伴いますので、のべつ幕なしにその姿を見せるのはやめておきましょう。

(ぱやぱやくん)

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