新写真用プリンターの定番はA2対応!
この10年でA3ノビ対応のインクジェットプリンターが爆発的に普及した。量販店のプリント用紙売り場に行けば、A3ノビサイズが写真愛好家に当たり前に受け入れられていることがよくわかる。
そして、A3ノビ対応のPIXUS PRO-1に代わる新たな写真用プリンターのフラッグシップ機として登場したのが、A2サイズに対応したimagePROGRAF PRO-1000だ。ブランド名がPIXUSでないのはキヤノン社内の命名ルールの都合とのことだ。
同社の写真用インクジェットプリンターとして主流のA3ノビサイズのプリントが可能なPIXUS PRO-10SやPRO-100Sと比べると、A2サイズでのプリントを実現するために本体のサイズはかなり違う。体積で60%近く違うために大きく感じるが、設置面積は20%ほどの違いにとどまっている。
また、インクカートリッジの容量も大きく変化した。同じ顔料のPRO-10Sのインクが各色約14.4mmリットルなのに対し、PRO-1000は80mmリットルと大幅に増量されている(ちなみに、PRO-1でも約35.5mmリットル)。もちろん、そのぶんタンクも大きくなっている。A3ノビサイズのプリントを20枚以上出力しようとしただけで、インク交換のために作業が中断されていたことを考えると、A2プリントのために大容量のインクが用意されている安心感のほうが強い。
画質も新開発の12色の顔料インクで、階調表現やマゼンタの表現域が拡大している。プリントの完成度が今までとは別次元の完成度だといえる。用紙の挙動を抑えるために、空気の力で紙を固定するエアーフィーディングシステムの作動音には少々驚かされるが、画質を考えれば許せてしまう。
A2というと、単純にA3の2倍の面積という大きさだ。さらに、A2の594×420mmサイズは、写真用紙の全紙(560×457mm)サイズに近い。ロール紙を使用するタイプのプリンターは設置場所を確保するのが難しく、このタイプであれば許容できる人も多いのではないだろうか。高画素機で撮影した写真を大きくプリントで再現したいなら、購入を考えたいプリンターだ。ただし、約32kgと一人で設置するのは難しい重さなので、購入する際はどこにどのように設置するか十分に検討したい。
◆小城崇史
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●最高解像度:2400×1200dpi●インク:12色(マットブラック、フォトブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、フォトシアン、フォトマゼンタ、グレー、フォトグレー、レッド、ブルー、クロマオプティマイザー)。各色80mmリットル。各1536ノズル、計1万8432ノズル●対応用紙幅、長さ:後トレイ:幅89~432mm、長さ127~594mm手差しトレイ:幅203.2~432mm、長さ254~594mm●使用可能用紙サイズ:A5、A4、A3、A3ノビ、A2、B5、B4、B3、はがき、往復はがき、L判、2L判、KG、レター、リーガル、レジャー、六切、四切、半切、17×22インチ●接続:USB2.0、有線LAN(10BASE-T、100BASE-TX)、無線LAN(IEEE802.11n/g/b)●対応OS:Windows Vista/7/8/10(いずれも32/64ビットともに対応)、Mac OS X v10.7.5~10.10.x●大きさ・重さ:約723×433×285mm・約32kg●価格:オープン(実売17万2560円)