10月1日のイランのイスラエルへの報復は弾道ミサイルなど180発超を発射したが、イランは軍事基地を狙ったとし、イスラエル国内でも死者は出ていない。ただし、BBCによると、イラン革命防衛隊は「極超音速ミサイル『ファタハ』が12分でイスラエルに到達し、イスラエルの空軍基地3カ所と情報機関モサドの本部を含む目標を正確に攻撃した」と主張する。

 中東の軍事大国であるイランがイスラエルとの直接対決を念頭に置いて、戦略を探っていることは疑いない。

 今後の焦点は、イスラエルの報復は避けられない状況で、11月上旬の米大統領選を前に米民主党政権の中東政策に打撃を与え、トランプ氏に有利となるような大規模な軍事作戦を仕掛けるかどうかだ。

 イスラエルが米国の承認を得ずにイランの核施設を攻撃するとは考えにくいが、イランの油田を大規模に攻撃すれば、イランを崖っぷちに追い込むだけでなく、世界経済を揺るがし、米国も影響を免れない。(中東ジャーナリスト・川上泰徳)

AERA 2024年10月21日号

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