御料牧場を散策する天皇、皇后両陛下と長女愛子さま=2023年4月5日、栃木県高根沢町
御料牧場を散策する天皇、皇后両陛下と長女愛子さま=2023年4月5日、栃木県高根沢町

 陛下と佐藤直子さんの交流も40年近く続いている。その間に陛下と雅子さまとご結婚、長女の愛子さまの誕生と、家族の風景を見守ってきた。

 子どものころからテニスを続けてきた陛下のプレースタイルは、粘り強く安定している。足が速く、技術もあるので、どんな球でも追いついて打ち返してしまうという。

 中学時代にソフトボール部で鍛えた雅子さまは肩の力が強く、サーブやスマッシュはかなりパワフル。球技には慣れており、ご自身とテニスボールの距離感が抜群だという。毎回、「もう打ち方を忘れたわ」と笑いながらも、4~5球打てばすぐに感覚を取り戻し、美しいフォームを披露するという。

 2019年に陛下が即位。コロナ禍の前に、2回だけテニスのお相手を務める機会があった。

 雅子さまと愛子さまがコートに来る前に始まった、佐藤さんとのマンツーマンのレッスン。ミニテニスのゲームで熱の入った佐藤さんはつい、「殿下!」と呼んでしまう。慌てて「あっ、すみません。陛下です」と訂正した。陛下はこうしたときも穏やかである。どちらでもいいですよ、とでもいうように、

「大丈夫です」

 とにっこり笑っていたという。

 また、陛下と雅子さまがペアになり、2対1で佐藤さんとラリーを楽しんでいたときのこと。ふだんジョギングで体を鍛えている陛下の打つ球は強く、勢いに押されないよう佐藤さんが「エイッ」と気合を込めて打ち返した。

 そんな様子を面白がった雅子さまが、

「じゃあ私も、エイッ」

 とまねをして、みんなで大笑いになったという。

「人生で初めて」と雅子さま

 暑い日にボールを打ち合うと、おふたりとも滝のような汗をかく。

「こんなに汗をかけて幸せですね」

 と佐藤さんが声をかけると、陛下は爽やかな表情でこう答えた。

「ランニングとは違う種類の汗ですね」

 雅子さまも、

「人生で初めてというほど、多くの汗をかきました」

 と気持ち良さそうに話したという。

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「運動して汗を流して」