陛下と佐藤直子さんの交流も40年近く続いている。その間に陛下と雅子さまとご結婚、長女の愛子さまの誕生と、家族の風景を見守ってきた。
子どものころからテニスを続けてきた陛下のプレースタイルは、粘り強く安定している。足が速く、技術もあるので、どんな球でも追いついて打ち返してしまうという。
中学時代にソフトボール部で鍛えた雅子さまは肩の力が強く、サーブやスマッシュはかなりパワフル。球技には慣れており、ご自身とテニスボールの距離感が抜群だという。毎回、「もう打ち方を忘れたわ」と笑いながらも、4~5球打てばすぐに感覚を取り戻し、美しいフォームを披露するという。
2019年に陛下が即位。コロナ禍の前に、2回だけテニスのお相手を務める機会があった。
雅子さまと愛子さまがコートに来る前に始まった、佐藤さんとのマンツーマンのレッスン。ミニテニスのゲームで熱の入った佐藤さんはつい、「殿下!」と呼んでしまう。慌てて「あっ、すみません。陛下です」と訂正した。陛下はこうしたときも穏やかである。どちらでもいいですよ、とでもいうように、
「大丈夫です」
とにっこり笑っていたという。
また、陛下と雅子さまがペアになり、2対1で佐藤さんとラリーを楽しんでいたときのこと。ふだんジョギングで体を鍛えている陛下の打つ球は強く、勢いに押されないよう佐藤さんが「エイッ」と気合を込めて打ち返した。
そんな様子を面白がった雅子さまが、
「じゃあ私も、エイッ」
とまねをして、みんなで大笑いになったという。
「人生で初めて」と雅子さま
暑い日にボールを打ち合うと、おふたりとも滝のような汗をかく。
「こんなに汗をかけて幸せですね」
と佐藤さんが声をかけると、陛下は爽やかな表情でこう答えた。
「ランニングとは違う種類の汗ですね」
雅子さまも、
「人生で初めてというほど、多くの汗をかきました」
と気持ち良さそうに話したという。