アイドルを選んだ時点で腹を括った
30歳を迎え、音楽活動のキャリアは約15年間に及ぶ。音楽の魅力をどう捉えているのだろうか。
「歌詞、演奏、レコーディング、楽器……どれひとつ取っても、音楽には無限の表現方法があります。
言葉で伝えることが得意ではない自分からすると、音楽で自分の気持ちが表現できるのは助かるし、楽しい。どういう思いで書いた曲かを説明するのもあまり得意じゃないので、それを説明したとしてもしなかったとしても、聴き手が自由に受け取ることができる。双方にとって『自由なものであること』が自分にとってはちょうどいいんです」
アイドルだった時代、音楽よりもルックスやキャラクターが注目されることもあった。今も「そう感じることは少なくない」というが、「アイドル」を選んだ時点で、腹は括っていたのだという。
「私がどんな人間だろうが、音楽を聴いてほしいという気持ちが大きいです。でも、ルックスやキャラクターから、音楽に入ってきてくれる方も少なからずいます。今の自分を形成しているのは、アイドル時代の経験がほとんど。自分の芯になっています。
『音楽をやっててくれてありがとう』とか『この曲を聴いてすごく励まされた』という声をいただくと、これまで私がやってきたことは、ちゃんと意味を生んでいたんだなと思える。こういうことを感じているのは自分だけじゃないんだと感じて、気持ちが楽になります」
100人のうち1人に刺さる曲
活動再開後の初のアルバム「&」に収録された、自身の劣等感がモチベーションになっていることを歌った「劣等感」には特に大きな反響があったという。
「『彩ちゃんもそんなこと思うんだね』と結構言われて、『私はみんなにどう映ってるんだろう?』って思ったこともありました(笑)。でも、そういう人間らしさで共感が得られたところもあったので、本音を出すことも大切なんだなと思いました。
メジャーアーティストとしては、万人に共感してもらえる曲を書くことも大切だと思うんですが、100人のうち99人にはよくわからないと思われても、1人に刺さる曲にも意義があると思う。そういうことも大切にしたいです」
劣等感について、こう語った。