セリフに関して言えば、一人で覚え、口にしてみるときは間違えることなく言えるのに、感情が昂(たかぶ)ったお芝居をするときは、なぜか「ここはどこ? 私は誰?」といった具合に、セリフが飛んでしまうこともあって不思議ですよね。里依紗さんとぶつかるシーンでは、相手のお芝居によって自分の演技も変わる、ということを身をもって知りましたし、演じていてグッとくるものがありました。ご一緒できて嬉しかったですし、そこは視聴者の方にも注目して観ていただきたいポイントです。
本番までは「お互いに本気を出さない」と決めていた、姉妹が感情をぶつけ合うシーンです。本番の一回でしか出せないエネルギー、そのときのピークとも言える感情が出せたのではないか、と思っています。
人は食で作られていく
――結は阪神・淡路大震災や糸島で過ごした青春時代の経験を経て、栄養士の道を目指すようになる。物語の根底には、「人は食で作られていく」という大きなテーマがある。子ども時代の橋本にとって“食卓の思い出”とは?
橋本:私は5人家族で、家族みなで食卓を囲み、ご飯を食べていました。両親ともに、帰宅時間が見えやすい仕事だったこともあり、その日にあった出来事を家族で話しながら一緒に食卓を囲むのが当たり前でした。
いまも食べることは大好きですが、「健康」を強く意識したことはあまりなかったかもしれないですね。大きな仕事が終われば焼き肉を食べに行くなど、「食べたいものを食べたいときに食べる」という生き方を貫いていた気がします。同時に、「仕事をしながら料理をする」って本当に大変なんだな、と感じるようにもなりました。
――「おむすび」の撮影が始まった頃は、家族のありがたみを知り、改めて感謝することも多かったという。
「親の存在って偉大」
橋本:私は福岡県出身なので、糸島で撮影を行っていた時期は、実家から現場に通っていたんです。改めて両親ってありがたいと痛感しました。二人とも働いているというのに、朝起きると洗濯物もシーツも畳んでおいてくれて。びっくりすると同時に、「もう一人暮らしに戻れないかも」なんて、思っていました(笑)。