ゆで太郎の挑戦は「まだ始まったばかり」だ(写真:アフロ)

全国展開を前提としたビジネスモデル

「私は『ほっかほっか亭』で働いていた時、車で担当地域を回っていました。食事は幹線道路沿いの“ロードサイド店”が多かった。うどんやラーメンはありますが、そばがないのが個人的に不満で、それが『ゆで太郎』の原点になりました。『ゆで太郎』は麺もつゆも店で作っています。店舗は一定の面積が必要ですし、製麺機など初期費用もかかります。しかし原価は抑えられるので安価でおいしいそばを提供できます。また自社工場でそばとつゆを作る方式だと、工場から離れた地域には出店できません。自社工場を必要としない『ゆで太郎』は、店で仕込むというメリットを最大限に生かすため、最初から全国展開を前提としたビジネスモデルなのです」(池田氏)

 とはいえ、大阪府への出店は「堺筋本町店」の1店舗のみで、京都や兵庫へは進出していない。まだ“西日本の壁”を乗り越えた言える段階ではないのかもしれない。池田氏もこう話す。

「大阪市の店舗はしっかりと利益を出していますが、福岡市や福井市では苦戦しています。ただデータを精査すると、味が原因ではなく、苦戦している店舗は朝食の時間帯が伸び悩んでいるという共通点がありました。実は『ゆで太郎』は朝の売り上げが全体の1割から2割を占め、これほど高い割合は外食産業では珍しいのです。なぜ苦戦店は朝食が不振なのか、原因を探っていきたいと考えています。まだ挑戦は始まったばかりですから」

 もっとも、大都会である大阪は“東京と縁のある”消費者も少なくない。池田氏も手応えは感じているようだ。

「『この間、出張で東京に行って食べたそばはおいしかった』と、『ゆで太郎』を訪れてくれる、生粋の関西人の方もいらっしゃいます。これだけ人とモノが動く時代ですから、『東京はそば、大阪はうどん』という区分は過去のものになりつつあると実感しています。そのため、現時点で私たちは味のローカライズ、つまり『大阪の店舗では関西風のだしにする』といった地域ごとの微調整が必要だとは考えていません。あくまでも『江戸切りそば ゆで太郎』の味で全国展開するつもりです」

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関西にも「そば文化」はある