AERA 2024年10月7日号より

 金融企業からコンサルティング会社に好条件で転職した都内在住の女性(40)は、入社2週間で夫から英国赴任が濃厚だと聞いた。元々海外が好きで、駐在妻(駐妻)に憧れはあったため喜んだのも束の間、「あれ? 待って、私のキャリアどうなるの? 入社したばかりなのに……」と、気まずさが一気に押し寄せた。

 人事に再雇用制度を利用できるかと聞いたところ、「渡英したら気持ちも変わるかもしれないから、帰国時に再入社したいと思ったら門を叩いてください」とやんわりと“お断り”された。「試用期間中だったこともあり強く言えませんでした。ショックでしたね」

 後ろ髪を引かれながらも退職し、当時2歳の子どもと渡英。半年後には、趣味が高じて自宅でお菓子教室を開くなど充実した日々ではあったが、夫とケンカをした時のこと。「私はキャリアを中断している。何のために同行したと思っているのか」と問いただしたところ「遊びと子どものお世話」と言われキレた。「それだったら、子どもを置いて私は日本に帰ります」と言い放つと、ようやく夫は妻の本心を理解したようだったという。

(フリーランス記者・小野ヒデコ)

AERA 2024年10月7日号より抜粋

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