小泉純一郎氏の郵政民営化に「造反」した野田聖子氏が進次郎氏の母親代わりとなり、全特に協力要請

 それを支えているのが林陣営の選挙責任者を務める元農林水産相の江藤拓氏で、全特との関係は深い。江藤氏が03年の衆院選に初出馬したとき、当時の特定郵便局関係者は後援会「ホープ21」を結成して全面的に応援した。また郵政民営化に反対した江藤氏は、05年の郵政選挙で自民党の公認を得らず、当選した後も離党させられた。

 それから約20年がすぎ、ようやくその「怨念」を晴らすときが来たということだろう。実際に民営化後の郵便サービスは低下の一途。21年10月からは速達や書留などを除く普通郵便の「土曜日配達」を休止し、01年度は約262億通だった国内郵便は23年度には約135億5500万通まで減少した。

 10月1日から郵便代も上げられる。定形郵便物は50gまでが110円となり、通常はがきは63円から85円と35%も値上がりする。その一方で、郵便の遅延が目立つ。総裁選も例外ではなく、9月12日に発送されたはずの投票用紙が、20日にようやく党員の手元に届いた例もある。党員投票の締め切りは9月26日で、自民党本部は「24日午前までの投函」を呼びかけるが、はたしてそれで間に合うのかーー。

格差社会の拡大を促した小泉政権

 これが小泉氏の父・純一郎氏が行った「郵政改革」のなれの果てといえるだろう。しかも父が行ったのは、これだけではない。

 小泉政権では03年に期限付き労働契約を1年から3年に延長し、2005年には製造業の派遣を解禁した。小泉改革は非正規雇用を拡大するとともに、労働分配率を74.2%(01年)から70.6%(05年)に下げた。こうして格差社会が拡大されていく。

 小泉氏は9月6日の出馬会見で「聖域なき規制緩和」を掲げ、「解雇規制緩和」をぶちあげたが、これが父親の改革の「悪夢」を連想させるのは容易だった。島根県の丸山達也知事は、9月12日の会見で「親子2代で日本を全て非正規化していくことを目指しているのか」と舌鋒鋭く批判し、連合の芳野友子会長も20日に開かれた緊急学習会で、「労働者を軽視する政策は論外だ」と反対した。

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親の因果にぶちあたった小泉氏