現在のMIOさん(撮影/写真映像部・上田泰世)

 MIOさんの場合はギフテッドゆえの気質だけでなく、家庭環境も思考や振る舞いに影響を及ぼしていた。というのも、両親は上昇志向の強いタイプで、MIOさんに「立派な人間になれ」と常に期待していたのだ。

「両親からは、『一番が一番偉い』『成績は100点で当たり前』と育てられました。偉人の映画を見ると『あなたもこういう人になりなさい』と言われるので、それをデータとして取り入れて、その姿をめざしていました。私は幼いころ両親と離れて暮らしていたので、いつもどこかで、自分が両親から必要のない存在になるのではないかと恐怖心を抱えていました。そのためより強く愛情を求めて、『必要とされるためには、褒められること、役に立つことをしよう』『そのために周りに嫌われないようにしよう』と思い続けてきたんです」

 だからこそ、学校でつらいことがあっても、両親にはなかなか相談できなかった。「周囲と打ち解けられない」と話すと、「周囲から人気のない子だ」と思われるような気がしたからだ。集団無視や上履きを隠されるなどのいじめを受けた際は、さすがに両親も気づいたが、「原因はあなたの成績がいいことだ。だから、愚かな人たちは放っておきなさい」といった、解決にはならない助言しかもらえなかった。

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私立中学校の写真部での「出合い」