あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。昨年の9月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2023年9月18日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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ギフテッドと呼ばれる人たちがいる。高い知性や能力を発揮する一方で、発達の偏りや気性の激しさなど、さまざまな困難を抱えるケースも多い。好評発売中の書籍『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)では、そんなギフテッドたちの声を取り上げてきた。今回、話を聞いたのは、モデルのMIOさん。これまで「人間のことがよくわからない」という、まるで“宇宙人”のような悩みを持ち続けていたという。日本語、北京語、英語を操るトライリンガルで、高IQ団体「MENSA」の会員でもある彼女が、高い知能のために抱えてきた生きづらさとは。
台湾人の母と、日本人の父の間に生まれたMIOさん。幼少期を祖父母と台湾で過ごし、5歳の時に日本に移住。先に日本に住んでいた父母と暮らすようになった。日本に移住するまで日本語はほとんど話したことがなかったが、1カ月足らずで習得してしまったという。
勉強面での支障が起きることはなかったが、入学した日本の小学校では、なかなかうまくいかなかった。担任の先生の行動がきっかけで、いじめにあってしまったのだ。
「小学生のうちは、授業の内容は何でもわかってしまうので、いつも挙手していました。最初のうちは先生からかわいがられたけど、一カ月もしないうちに目の敵にされるようになり、『できる人は黙ってなさい!』と言われて……。クラスの誰もわからない内容を私だけがわかったので、先生のペースが乱れたのだと思います。そんな態度を見ているうちに、周囲の子も私に冷たくなっていきました。決定打になったのが、クラスの子の上履きが隠された事件。私が犯人だと先生に決めつけられてしまったんです」