上昇傾向にある新卒就職率。世代の人口も少なく「貴重な存在」として社会に出てきた若者たち。だが、コロナ禍があったせいか、どうも職場で居心地が悪い様子。彼らは実は「もっと上司や先輩とコミュニケーションが取りたい」と思っている(!)。そんな若い世代と向き合うポイントとは。AERA 2024年9月23日号より。
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社内で疲れた表情を見せる男性。それを見た先輩社員は、こう逡巡する。
「飲みながら話でも聞く? いや待て、俺が原因って可能性もあるからなぁ……」
そう悩んだ末、乾杯にたどり着く。ハラスメントを恐れて部下を誘いづらくなっている──。そんな上司世代の悩みを描いたウェブCMが公開されたのは、今年の春のことだった。
CMには上司やマネジメント層を中心に共感する声が続出した。だが、悩んでいるのは上司だけではない。
「職場の人と個人的に飲みに行ったことがないので、たまには誘ってほしいんです」
そう話すのは、都内のメーカーで働く女性(28)だ。歓送迎会や忘年会といった大きな飲み会に参加したことはあるが、少人数で飲みに行ったことはナシ。コロナ禍以降は歓送迎会もなくなり、「定時後は関与しない」ムードがただよっているという。
「社外イベントで少し遅くなった時も、駅まで一緒に歩いて『じゃ、お疲れ』とサクッと解散します。毎晩のように飲みたいとは思わないけど、ドラマでも居酒屋のシーンは鉄板ですよね。ああいう関係にあこがれます」
「おっさん」が珍しい
あこがれを現実にするべく、自分から誘おうとしたこともある。だが、プレッシャーになるのではないかと尻込みした。
「たとえば子育て中の上司は早く帰りたいと思っていても、部下に誘われたらむげにできないんじゃないか……みたいなことを考えてしまうんです。年齢が離れていると『おごらないと』と思わせてしまう気もして、難しい」
組織風土づくりを支援するコンサルティング会社「KTゲームチェンジャーズ」の松川隆さんは、サイボウズに勤めていた時に飲み会をめぐってこんな体験をした。