対談は大阪の安藤忠雄建築研究所で実施。自然光が差し込む開かれた空間で、縦横無尽に語り合った(撮影/写真映像部 東川哲也)
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 芸能界に入って、23年。バラエティー番組で頭角を現し、現在は俳優としても存在感を放つMEGUMIさん。映像プロデュースやカフェ経営など、一つのキャリアにとどまらず、道を切り開いてきた。そんなMEGUMIさんは建築家の安藤忠雄さんを「心の師」と仰ぐ。AERA 2024年9月16日号より。

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MEGUMI:15年くらい前に直島にある安藤先生の設計した美術館を訪れました。そのとき、まるで神社やお寺に行ったときのような崇高な気持ちになって、私のなかに激震が走ったんです。そこから安藤先生の建築を追いかけるようになりました。

安藤忠雄(以下、安藤):ありがとうございます。

MEGUMI:同時に先生の生きざまに触れる機会も増えて、それにもすごく影響を受けているんです。先生はご病気をされてからも活動の視野を広げて、毎年いろんな作品を作られていますよね。

安藤:「人生はそう簡単に安定しない」というのが私の持論です。私は大学にも行っていないし、建築の専門教育も受けていません。でも、この仕事をやり始めてから「これは面白い世界だ」と思って、そこからずっと「青春」を生きています。20代であっても、70代であっても、常に挑戦しないといけない。そうして自分の心がわくわくしている間は、ずっと青春なんです。

夢は大きいほうがいい

MEGUMI:今も直島に美術館を作っていらっしゃるんですよね。

安藤:来年開館予定です。直島の一連のプロジェクトについて、設計を依頼してくださったベネッセの福武總一郎さんも、青春を走り続けている一人です。普通、あの島のなかに美術館を作ろうと思いますか?

MEGUMI:本当に驚きました。

安藤:私も最初に聞いたときに「それは無謀じゃないか」と止めたわけです。でも、彼は諦めなかった。

MEGUMI:すごいですよね。

安藤:やっぱり夢は大きいほうがいいんです。もちろん玉砕することもありますけどね。2009年と14年に2回がんが見つかって、胆嚢、胆管、十二指腸、膵臓、脾臓を全摘しました。

MEGUMI:ご病気をされてから、さらに活動の勢いが増しているような印象があります。

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