安藤忠雄(あんどう・ただお)/1941年、大阪府生まれ。独学で設計を学び、69年に安藤忠雄建築研究所を大阪に設立。代表作に「光の教会」「ピュリツァー美術館」「地中美術館」など(撮影/写真映像部 東川哲也)

心で語り合えるか

──MEGUMIさんは著書『心に効く美容』のなかで、安藤さんの名前をマイヒーローとして挙げている。同書では見た目だけではない、内側の美しさについても説く。二人が思う「美しさ」とは。

MEGUMI:見た目は努力でなんとかなるかもしれない。でも、ひたむきに何かに取り組んでいる姿に勝るものはない。安藤先生の言葉をお借りするなら「一心不乱」というのでしょうか。そうした姿が美しいと思うし、だからこそ安藤先生やその作品に惹かれるんだと思います。

安藤:中学2年生のとき、当時住んでいた家の改築をしました。そのときお世話になった大工さんが、自分で工夫して作ったものに心から納得しているように見えたんです。実に楽しそうに生きているその姿が印象的で、自分もこういう生き方をしたいと思うようになりました。

MEGUMI:心で生きているんですね。

安藤:そうです。今もいろんなプロジェクトをチームで進めていますが、「こういうふうにしたい」と考えを強要したことは一度もありません。心で語り合い、思いを一つにすることが大事だと思っているからです。

MEGUMI:先生は40代から海外を目指されて、動き始めたんですよね。それに影響を受けて、私も今海外で仕事をしようと少しずつ動き始めています。日本とは種類の違う大変さや理不尽さがあるのかなと思うのですが、先生にとって海外ではどんな学びがありましたか。

安藤:1965年、ただ一人で船や列車を乗り継いで、ヨーロッパやアフリカを旅し、「地球は広い」「地球のことを考えて仕事がしたい」と思い始めました。それから海外の様々な国で文化や人々の暮らし、考え方を学び、仕事では素晴らしいクライアントにも出会いました。3年前には、パリのブルス・ドゥ・コメルスを改装しました。

MEGUMI:美術館ですよね。来月行く予定なんです。

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