不動産調査会社「東京カンテイ」によると、東京23区の新築戸建ての今年7月の平均価格は1億492万円と1億円を超えたのに対し、横浜市は5553万円、さいたま市は4662万円、千葉市は3762万円だった。
不動産市況の調査・分析を行うアットホームラボ(東京)のデータマーケティング部長・磐前淳子(いわさき・じゅんこ)さんによれば、周辺3県には都心へのアクセスが良好な沿線も多く、コロナ禍でテレワークが定着したことなどから、東京から離れることへの抵抗感は少なくなってきているという。
「郊外の戸建ての最大のメリットは、広さを確保できる点です。東京23区の土地面積の平均値が77.9平方メートルなのに対し、神奈川県(横浜市・川崎市)は106平方メートル、さいたま市は99.6平方メートルとかなり広くなっています。敷地が広いことで車を2台停められるほか、ガーデニングもできるなど活用できます」
しかも今、足元では地価や建築資材、人件費も高騰し、住宅価格が上がってきた。また、金利が上がり住宅ローン負担が増えることへの不安から、消費者が購入をためらうようになった。そうなると住宅が余るため、不動産会社は価格を下げ調整せざるを得ない状況にある、と磐前さんは言う。
不動産情報サービス大手のアットホーム(東京)の調査では、神奈川県(横浜市・川崎市)の今年6月の新築戸建ての平均価格は5236万円だったが、前年同月比マイナス0.7%と3カ月連続で下落した。さいたま市も、同4333万円で同マイナス2.7%と、9カ月連続で下落。千葉県(西部)は、同4206万円で前年同月比こそ横ばいになったが、それまで8カ月連続で下落している。
「東京周辺3県の中核都市の新築戸建て価格は、年内はわずかな下落基調が続くと見ています」(磐前さん)