近年は“酷暑”の中での開催について様々な意見が飛び交う夏の甲子園の開催
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 8月7日から始まった第106回全国高校野球選手権大会は終盤を迎えているが、夏の甲子園に関してここ数年必ず議題に上がるのが“暑さ対策”だ。

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 近年は気温上昇が顕著で、暑さから高校球児たちの健康を守るために様々な施策が取り入れられている。昨年からは5回終了のタイミングで10分間の休憩時間「クーリングタイム」が設けられ、今年は気温が上昇する時間帯のプレーを避けるため、午前と夕方に分けて1日3試合で行われる「二部制」が大会3日目まで試験的に導入された。

 他にも高野連は試合時間を短縮するために「7イニング制」を採用することを検討するなど、様々な試みや案が続々と出ている。

「(クーリングタイムには)体を冷やすことで筋肉が硬直しやすくなるというデメリットを指摘する声もある。7イニング制にすることも野球の根幹に関わるという人も当然いる。しかし昨今の気候変動に対応しなければ続くものも続かなくなる。柔軟な姿勢を見せ始めている高野連の動きは素晴らしいと思う」(高校野球に詳しいスポーツライター)

 クーリングタイムや二部制もまだ取り入れられたばかりで課題もあるが、それでも高野連は近年、暑さ対策のために積極的に動いているのは間違いないだろう。

 だが、これだけの酷暑の中で「そもそも夏に甲子園で試合を行う必要があるのか?」という意見が絶えないのも事実。今年の夏の甲子園でも選手が試合中に足をつる場面などがあるたびに、SNSなどでは「夏の全国大会はドームでやるべき」といったものや、「夏ではなくほかの季節に開催するべきだ」といった書き込みが目立っている。

 とはいえ、高校野球の全国大会を夏以外の季節に、甲子園ではない球場で行うことは現実的にはかなりハードルは高い。

「第一に高校生の本分は勉学であり、開催時期を動かして学校を休んでまで全国大会を開催することは非常に難しい。春のセンバツとの絡みを考え秋口へ動かした場合は、NPBの優勝争いとモロ被りしてしまう」(在京テレビ局スポーツ担当者)

 さらに夏の甲子園では球場の使用料が発生しないということを考えると、仮にドーム開催となれば金銭的なところで乗り越えなければいけない部分も出てくるだろう。加えて、夏休みの時期に大会を行うことに関しては高校野球に限った問題ではない。これは他の学生スポーツにも当てはまることでもある。

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「球児たちの意見」も尊重すべき?