2024年、夏。今年も甲子園で高校球児たちの熱戦が繰り広げられている。第106回全国高校野球選手権大会の名シーン、名勝負を振り返る。今回は、3回戦までを振り返る。

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東海大相模・才田
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 守備でのピンチをチャンスに変えるビッグプレーは、今夏の甲子園でも何度も目にしている。「守備からリズムを作る」。106回大会の甲子園出場校にも、チームの特色をそう語る高校は多い。

 ただ、3回戦までを振り返れば、失策数が多い印象だ。開幕戦では、2失策の滋賀学園に対して、有田工が7失策と苦しんだ。さらに同日の第2試合では、英明の3つに対して、健大高崎が2つの失策。さらに第3試合では、智弁学園の2失策に対して、岐阜城北は7失策と守備が乱れて初戦敗退となった。両校無失策試合は、大会3日目の第1試合である新潟産大付と花咲徳栄の1回戦、大会6日目の第3試合である鳥取城北と明徳義塾の2回戦、そして、大会9日目の第2試合である掛川西と岡山学芸館との2回戦。3回戦までの41試合で、わずか3試合だったことからもわかるように、各校ともに守備の重要性を再認識した大会となっている。

 そんな中で、華麗さもありながら堅守を見せる内野手は際立った。たとえば、東海大相模の遊撃手である才田和空は、守備範囲の広い好守でチームを盛り立てる一人だ。広陵との3回戦。三遊間への痛烈な打球に追いつき、イニングの先頭打者の出塁を許さなかった3回裏の守備はチームに勇気を与えた。3回戦で姿を消したが、小松大谷の遊撃手である山崎悠太の守備力も光るものがあった。智弁学園戦では一塁送球のミスで失策を記録したが、グラブさばきと足の運び、そして打球への反応は大会を彩った。

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