8千万~1億円の物件に落ち着く
都内での物件探しは、人気の沿線の駅近など、立地を重視し、築浅の物件を23区内で探すところからスタートする。だが、人気エリアは高すぎて買えないことが多く、現実的な資金計画を前に、少しずつ条件の優先順位を下げていく。
「23区内にこだわる人が多いですが、最終的に8千万〜1億円の物件に落ち着くケースが多い」(同)
ペアローンの最大のメリットは、借入額を増やせることにある。夫1人の収入では5千万円しか借りられない場合でも、同じ収入の妻がペアローンでもう5千万円を借りることで、1億円の物件にも手が届くことになる。
住宅ローン減税も2人分
住宅ローン減税を2人分受けられるというメリットもある。物件の種類によって控除対象となる金額の上限は変わるが、1人あたり最大で455万円の還付を受けられる。
「晩婚化や晩産化の影響から、住宅の購入年齢も上がっていますが、40代から35年ローンを組むと定年退職してからも返済が続くことになる。希望の返済期間やローン額、金利で借りられない場合があります。ペアローンであれば借りられる額も高くなり、良い審査結果が出やすい」(同)
増える「こんなはずじゃなかった」
一方で、気になるのがリスクだ。借入額が多いということは、多額のローンを背負うということでもある。
「実際、こんなはずじゃなかった、という相談も増えています」(同)
有田さんによれば、ペアローンには3つのリスクがある。
1つ目が、購入後の「収入の減少」だ。住宅を購入後に子どもが生まれ、子育てのために夫婦どちらかが働くペースを落とせば、計画通りの返済は難しくなってしまう。
実際に子育てが始まると…
「出産後も共働きを続ける前提でペアローンを組む人が多い。ですが、実際に子育てが始まると、“働き方を変えたい”“子育ての時間を確保するために、一度仕事から離れたい”というケースも増えています。子育て後も仕事が続けられることを十分に確認したうえで、ペアローンを検討することが望ましいのですが……」(同)
子育てのみならず、病気で思うように働けなくなるなど、状況が変わった時に返済が難しくなることもある。
「正社員として働きたくても働けなくなる可能性もあれば、金利が上がったり、教育費が想定よりかさんだりと、予想外の事態が起こることも考えられます。ある程度は収入の減少も想定して、それでも返済できる額がいくらなのかをよく考えることが必要です」(同)