AERA 2024年8月12日-19日合併号より

 常用型派遣とは、派遣先から「契約を更新しない」と言われても、派遣元会社に雇用されているから、仕事がなくても派遣元で研修を受けることができます。職にあぶれることはなく、技術職が多いです。

 高度な技術職の他にも工場のラインなど、体力が必要な仕事は男性が多く、人手不足だとも言われてます。事務職が多い女性とは賃金格差があります。

 派遣が同じ職場で働けるのは3年までという「3年ルール」が安倍政権時代にできました。労働契約法に、同じ会社で、有期契約が更新されて通算5年を超えた時は、直接雇用ができる「5年ルール」がありますが、この「3年ルール」によって有名無実になりました。結局、正社員になれないという絶望感たるや半端なかったですね。

男性もケアワークを

 私は「3年ルール」の運用が初めて期限を迎える18年の前年に雇い止めに遭いました。長年の経験が評価されず、本当に悔しい思いをしました。

 女性が上に行けない「ガラスの天井」があると言われますが、私の場合は「真っ黒な天井」ですよ。天井の穴がふさがれてしまいました。

「男女平等」なんて、まだまだ全然です。欺瞞で偽善で、矛盾があると思います。男性原理が女性を資源化しています。女性の意思や生き方や価値観が優先されず、あくまで政府や企業が都合よく、女性の有償無償の労働力を使っているのです。

 男性も家事・育児などのケアワークをしなければなりません。でもケアワークをしながら仕事をすると、途端に収入は減ります。だから、女性の働き方を改善していく時に、まずは「ケアレス・マン」の働き方を標準としている企業の体質や構造を変えなければいけないと思っています。

(構成/編集部・井上有紀子)

AERA 2024年8月12日-19日合併号より抜粋