JR大宮駅のみどりの窓口は70人待ちだったが、指定席券売機には誰も並んでいなかった=さいたま市大宮区、米倉昭仁撮影

「一見さんお断り」のシステム

 JR東日本は、「窓口に並ばずにきっぷが買える」として、指定席券売機や、インターネットできっぷが買えるえきねっとの利用を勧めている。

 だが、なぜ混雑状況が一向に改善しないのか。

 鉄道ライターの小林拓矢さんはこう話す。

「指定席券売機にしてもえきねっとにしても、普段から使い慣れているビジネス客など、『きっぷのルールを知っている人』でないと、操作方法がわかりにくい。きっぷのルールをよく知らない人は、みどりの窓口に並んでしまうんです」

 指定席券売機の使いづらさは同社も認識しているようで、ホームページには、「券売機の操作方法は難しいですね」とあり、指定席券売機の使い方を体験できるシミュレーターに誘導している。

 いっぽうで、現代人のきっぷ離れが進んでいる。もはや必需品ともいえる交通系ICカードの普及で、きっぷを買う機会は減った。ICカードがあれば、きっぷを買わずともタッチすれば運賃が引き去られる。そのため、「きっぷの買い方」すらわからない人が増えている、と小林さんは指摘する。

「これ以上、みどりの窓口を減らすべきではない」と訴える鉄道ライターの小林拓矢さん

きっぷが買えるか、自信がない

 まさか、と思うだろうか。

 先日、記者の大学生の娘が「1人でUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、大阪市)に行きたい」と言うので、「新幹線のきっぷなら、駅の指定席券売機で買えるよ」とアドバイスした。ところが、きっぷを買えずに帰ってきた。

「どうすれば正しいきっぷが買えるのか、自信がなかった」と言う。

 娘の視点で券売機の操作画面を見ると、確かにわかりにくい。指定席券売機の初期画面には「きっぷの種類をお選びください」と表示され、その下には「指定席」「自由席」「乗換案内から購入」「おトクなきっぷ」などの選択肢が示される。きっぷの一般的な知識がなければ、「指定席」「自由席」が「特急券」の種類で、さらに「乗車券」が必要だということもわからないだろう。JR東日本によると、「乗換案内から購入」から操作を始めるのが基本だというが、何も知らなければ「おトクなきっぷ」を選んでしまうことも大いにありそうだ。

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