一度見てしまうと、あっという間に「あちら(動画)側」に行ってしまう子ども。もう「こちら側(読書)側」に戻ってきてくれないの……? 本を読んでほしいけれどなかなか定着しないというご家庭に、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を立ち上げた笹沼颯太さんが、子どもを本好きにする方法をアドバイス。今回は「読書 VS. 動画」についてお話を聞きました。

MENU 本と動画、どちらが子どもに近いか「距離」に注目してみましょう スタートラインは「とにかく低く」設定すること

本と動画、どちらが子どもに近いか「距離」に注目してみましょう

――「動画」を知ってしまい、本からすっかり遠のいてしまった……という声を多く耳にします。

「ヨンデミー」ユーザーさんも、はじめは多くの方が同じことをお話しされています。

 でも、「本を読んでほしい」と願いながらも、実は動画に手が届きやすい環境であることって、けっこう多いものなのです。

 どういうことかというと、子どもが「ひまだな」と感じたとき、視界にタブレットやスマホが入ったら、それは見てしまいますよね。手が届くところにテレビのリモコンがあれば、ゲームだってしますよね。

「ひまだな」と思ったときに、動画よりも先に本が目に入るような「距離」でないと、子どもは本を手に取りません。ですから、子どもがよく座るソファに本が置いてあれば、なんとなく開くでしょう。なぜなら、いちばん近くにあるからです。

 こんなふうに、動画と本、子どもとの距離を見直してみましょう。「距離」というのは空間だけでなく「スピード」も入ります。

 動画は、ひとつが終わるとすぐに次のおすすめが現れて、途切れることなく見てしまいがちですよね。

 受動的に楽しめる動画に比べて、本は一冊読み終えると「次は何を読もうかな」と自分で考えなくてはいけません。さらに、選んで、ページを開いて、自分の力で読み進めていくので、動画に比べると読書のほうが圧倒的に負荷が大きいのです。

 この「差」を埋めるために、僕たちがよく親御さんにお話しするのは、先ほどのように「距離」を縮めること。そして、とにかく、「たくさん本を図書館で借りてきておいてください」ということなのです。一冊読み終わっても、すぐに次がそこにある状態にするのです。

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笹沼颯太
笹沼颯太

Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る。著書に『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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