スケートボード 男子ストリート:堀米雄斗/ベストトリックの最終5本目で270度回転してボードの後ろ部分をレールに滑らせる大技を成功させ、東京大会に続き連覇を達成した(写真:代表撮影/JMPA)

「夏休みは友だちと遊びたいですけど、高校受験もあるので勉強もしないと」

 オリンピックから受験勉強の夏休み。吉沢にとって今年の夏は特別な思い出となるだろう。

堀米「3年間でレベル上がった」

 一方、インスタグラムのフォロワー数は190万人を超え、世界中にファンがいる25歳の堀米雄斗にとって、24年はとにかく追い詰められてばかりだった。オリンピック出場が決まったのは、6月23日の予選最終戦。滑り込んだ形だった。

 そして迎えた本番。決勝では苦手とする前半のランを全体4位で折り返し、後半の得意なベストトリックへ。1本目で94.16と高得点を出して、上位との差を縮めたが、2回目から4回目までは失敗、7位にまで順位を落としていた。そして迎えた最後の1本。96.98点を超えなければ金メダルには手が届かない。堀米はまたも、追い込まれていた。その状況で王者は見事に大技を決めて97.08点をマーク。大逆転で連覇を達成した。

 試合終了後、堀米は「何が何でも乗る(成功させる)つもりでした」と話し、「いつも限界まで追い込んで練習してるんで」と積み重ねてきた時間の尊さをうかがわせた。

 その堀米が「東京オリンピックからの3年間で、競技のレベルはめちゃくちゃ上がってます」と話すほど、この競技は急速に進化を遂げている。

 オリンピックでのスケートボードの歴史はまだ浅い。4年後のロサンゼルス大会では、今はランドセルを背負っている児童が、日本代表になっているかもしれない。そしてまた、20代後半を迎える堀米も、新しいトリックにチャレンジしていくだろう。スケートボードの世界は、これから成熟期を迎える。(スポーツジャーナリスト・生島淳)

AERA 2024年8月12日-19日合併号