最近「AERA dot.」で掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は7月7日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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【※ネタバレ注意】以下の内容には、アニメ、既刊のコミックスのネタバレが一部含まれます。
アニメ『鬼滅の刃』「柱稽古編」の最終回が終わり、その完成度の高さには視聴者から称賛の声が上がった。物語は今後、劇場版3部作「無限城編」へと続くが、“最終決戦”では、最強の鬼・無惨の「力」をできるだけ削ぐことが必須となる。産屋敷耀哉の衝撃的な“自爆”攻撃には驚かされたが、捨て身の戦法はそれだけにとどまらなかった。鬼の珠世もまた、無惨を倒すための「重要なカギ」を握ることとなった。なぜ彼女は、鬼でありながら鬼殺隊に味方し、無惨の滅殺に力を貸すのか。無惨と珠世の深い因縁から考察する。
鬼の習性を語る「知性の鬼」珠世
「鬼滅の鬼」は不思議な“生物”で、もともと集団で行動することを互いに好まない。鬼の始祖・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)は、配下の者たちが自分を脅かすことがないよう、彼らの精神をコントロールしているという。
かつては人間の敵であった医師の鬼・珠世は、無惨と決別し、のちに鬼殺隊の剣士である竈門炭治郎と、その妹・禰豆子を援護するようになるのだが、炭治郎たちの前で「鬼の習性」について語ったことがあった。
「鬼が群れることができない理由を知っていますか? 鬼が共喰いする理由 鬼たちが束になって自分を襲ってくるのを防ぐためです そのように操作されているのです」(珠世/3巻・第18話)
鬼でありながら、医師。目眩しの術「惑血 視覚夢幻の香」と、相手に自白をうながせる「白日の魔香」という複数の血鬼術が使える珠世は、鬼として優れた能力を持つだけでなく、無惨の支配から逃れるための医学的処置を生み出せるほどの、高い知性を持っていた。