対戦車ミサイル「ジャベリン」の実射訓練

 中国は海兵隊800人を運べる3万トン級の揚陸艦2隻(他にも1隻建造中)など上陸作戦用の艦約30隻を持ち、約2万人を第1波として上陸させることは可能と思われるが、台湾は陸軍9万4千人と海兵隊1万人を有し、予備役を動員すれば30万人にはなりそうだから撃破される公算が大きい。仮に台湾全島を制圧できたとしても工場などを破壊し、技術者、工員が離散すれば中国は貴重な分業の仲間を失い経済に大打撃を受ける結果となる。中国と台湾の分業には密接な相互依存が成立し、手を取りあって発展してきたのだ。台湾の輸出の44%は大陸向けで、電子部品が主体だ。台湾の対外投資の約60%は大陸にあると言われ、約100万人の台湾人が大陸で勤務している。

 仮に米国が台湾独立を支持して戦争になった場合、中国は上陸を避け、港湾をミサイルや航空機で攻撃、商船の荷揚げを妨害する「兵糧攻め」に出る可能性はある。台湾の自給率は食料が31%、エネルギーは9%だから商船が入港できないと数カ月しかもたない。日本にも大同小異の弱点がある。

 日本も「トマホーク」や「12式地対艦誘導弾」の射程延伸型で反撃すれば、中国も弾道ミサイル、巡航ミサイルで反撃してくるだろう。本誌昨年11月21日号で、相手の移動式ミサイルの精密な位置を常につかんだり、地下の指揮中枢を攻撃したりする難しさを述べたが、軍事目標が狙いにくいと発電所、橋、工場、商港など戦力の基盤となる準軍事目標が標的になり民間人の死傷者が増える。互いに「反撃」を繰り返す長期のミサイル戦争になり米国が手を引けば、GDPが日本の4倍、宇宙開発でも先行している中国側が優勢になるかと思われる。

■日本経済に致命的打撃

 もし中国との戦争になれば、日本の輸出の27%の対中輸出が停止するだけでなく、輸入も止まるし、日本企業が出資する事業約1万2千件が敵性資産として凍結、接収されれば日本経済に致命的打撃となる。米国からの「トマホーク」500発購入だけでも2100億円はかかりそうだが、法人税の引き上げでその一部を負担する企業は踏んだり蹴ったりだ。

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