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Z世代の女性向けエッセイ投稿サイト「かがみよかがみ(https://mirror.asahi.com/)」と「AERA dot.」とのコラボ企画は第3弾。「わたしと『父親』」をテーマに、エッセイを募集しました。多くの投稿をいただき、ありがとうございました。
投稿作品の中から優秀作を選び、「AERA dot.」で順次紹介していきます。記事の最後には、鎌田倫子編集長の講評も掲載しています。
ぜひご覧ください!
* * *
2022年に娘を出産し、私は夫を「父親」にした。
好きになった人、結婚し一緒に暮らしている人、今一番身近な人が「父親」になる。
夫婦として過ごした3年の中で、ある程度は彼のことを理解していると思っていた。
甘かった。
「何してんだコイツは?」
産後のイライラも相まって、彼の行動に頭を抱える日々。
思い出したし、思い知った。
私にとって「父親」は、そもそも理解できない存在だった。
◎ ◎
ずっと不思議に思っていることがある。
人にもよるが女性は妊娠した瞬間に母親になっていく。お酒や生もののような食べ物飲み物の制限に耐え、つわりに耐え、日々変化し大きくなっていくお腹を庇いながら、生活する。
そして陣痛に耐え、股を割き、腹を切り、赤ちゃんが自分の体内から出てくるのを目の当たりにする。妊娠から出産の過程の中で母親の実感が湧く瞬間はいくらでもある。