疲れてダラダラ寝ていると、それ以上は疲れないので、すごく低いレベルでの体力の維持はできます。でも、それ以上には上がっていかない。「病気じゃないからとりあえずいいか」という感覚で低空飛行していても、楽しくないんじゃないかと思いました。

 そこで、バッと起き上がって活動できるという力は、年齢に関係なく必要になりますし、それができる人と、できない人とでは、生き方が変わってくるでしょう。

 物理的な年齢よりも、日々いかにきちんと休養をとって、活力を作っているかどうかが物を言う。そこで個人差が広がっていく時代なのだと思います。

ジャーナリストは不健康な無頼派だった

「休養」が注目されているのは、この15年ほどで健康に対する意識が非常に高まってきたことと関連するのではないかと思います。

 15年ほど前、日々の生活を聞かれて、朝6時半に起きてジムに行っていると答えたら、「えっ、ジャーナリストなのにジムに行くんですか?」と笑われたことがありました。

 その頃は、ジャーナリストと言えば、遅くまで飲み屋で酔っ払って殴り合いしているというような無頼派のイメージがあったのでしょう。それが、「それじゃ体を壊すだけで、何もいいことはないよね」と変わってきた。これには、終身雇用による安定性がなくなってきた影響が大きいのではないかと考えています。

 最近よく、昭和の時代とは何だったのかということを考えています。映画という切り口で見ると、昭和は、とにかく「脱出モノ」の映画が多いのです。

 終身雇用のサラリーマンが多く、社会は安定しているが、組織のヒエラルキーが存在し、抑圧も強い時代でした。だからこそ「そんな社会からどう脱出するか」ということをテーマとした作品が増えた。歌謡曲にも「遠くへ行きたい」という歌詞がよくありました。

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