今の時代は、どちらがより弱者かを争う「かわいそう競争」が起きています。「シングルマザーはかわいそうだ。でも、『キモくて金のない中高年のおじさん』は、メディアにも無視されもっとかわいそうだ」という話になる。あまり健康的ではありませんよね。

 かつては、元総理大臣の森喜朗のような「抑圧的な年配のおじさん」こそが強者のイメージでした。ところが、あのようなタイプの人は、実際にはもうほとんどいません。誰もが弱者であるという世界で、「自分こそが弱者だ」という争いが起きているのです。

 しかし、自己憐憫に浸っていても、あまりいい人生にならないと僕は思います。強者になれとは言いませんが、せめて健全であってほしいですね。休養をとって体を健康に保つ、生活をきちっとする、仕事をしっかり作るというような、足元をしっかり築くことのほうが大切なのではないでしょうか。

休養のとり方が差を生む時代

 60代になった今、若々しさの個人差がすごく激しくなっていくのを目の当たりにしています。

 最近、「平均寿命」ではなく、「死亡年齢最頻値」という言葉が盛んに使われるようになりました。「平均寿命」は、今年0歳の子供が何歳まで生きるかという数値ですが、「死亡年齢最頻値」は、今年いちばんたくさん亡くなった人は何歳かという数値です。日本人は、男性88歳、女性93歳。

 今年5月には、政府の経済財政諮問会議において、民間議員から「高齢者の定義を65歳から70歳へと5歳延ばすべきだ」という指摘もなされました。

 これらの現象から、ものすごく長く働く時代がやってくるのだとわかります。自分が長く働きたいと思うかどうかではなく、社会として、否応なしに「働いてください」というふうになっていくわけです。

 そうなると、いかに健康を維持するかが重要なテーマになるでしょう。だからこそ、うまく休養を取り、活力を取り戻しましょうということになる。

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