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活力なき日本、誰がいちばん疲れている?

 世界と比較して「出世欲の低い日本」と言われるようになっていますが、そこには、出世することに対するコスパの悪さがあると思います。

 管理職になっても大して給料が上がらない。残業時間がなくなるだけ、むしろ給料が減ったりもする。それでいて、面倒なマネジメントを押し付けられるのですから、みんな管理職にはなりたがりません。

 かつての日本のように、出世によって得られる利点が乏しくなってきているわけです。逆にそれは、「平等ないい社会」と見ることもできます。出世することによって権力を得られる社会のほうがいいのかというと、そういうわけでもありませんから。

 しかし、その「平等ないい社会」が、活力ある健全な方向に向かっていないのが残念に思います。多様性が広がり、誰もが生きやすい社会になってきたとは思うのですが、そのよさが社会であまり共有されていない感じがします。

 若い女性がいちばん疲れているというデータがあるようですが、個人差もありますし、あらゆる年齢、あらゆる性別の人が疲れていることに間違いはありません。僕は、「いちばん疲れているのは誰か」を競争することには、あまり意味がないような気もします。

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