井村順一(いむら・じゅんいち)/東京工業大学理事・副学長(教育担当)。専門は制御理論、制御応用(電力、生体、道路交通)(写真:東京工業大学提供)
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 入試で女子枠を導入した東京工業大学。高い目的意識がある学生として、女性に注目しているという。なぜなのか。AERA 2024年7月8日号より。

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 東京工業大学の24年度の女性の入学者は前年より55人増えて164人になり、入学者の女性比率は昨年春の10.7%から15.3%に上がった。

 女子枠を導入した東工大の「ほしい人材」は変わったのか。井村順一理事・副学長に聞いた。

「アドミッションポリシーは変わっていません」

 東工大が基本的に求めるのは「科学技術を基盤として自ら学び考えることができる人材」。選抜ポリシーも変えていないが、女子枠入試を始め、総合型選抜と学校推薦型選抜の募集人員の割合を大幅に増やしている。

 東工大が求めているのは、いったいどんな学生なのか。

「高い目的意識を持った学生です。『自分は社会に出て、こんなことをしたい』『社会に出てこんな貢献をしたい』『そのために、大学でこんなことを学びたい』といったことについて論理的に説明できる高いモチベーションを持った学生を求めています」

 高い目的意識がある学生として、なぜ女性に注目するのか。

「そもそも理工系分野では女性が少ない中で、理工系を選ぶ女子学生は、高い目的意識を持っています。女子枠入試でも、一般選抜でもそうなのですが、合格した女子学生は大学での成績もよく、活動的な学生が多いです。入学がゴールではなく、大学で学びたい内発的動機を持っているからです」

 女子枠入試と関係なく、東工大では女性が活躍する傾向にある。

「学生リーダーシップ賞というサークルなどを率いて活躍した学士課程の学生を表彰する賞があります。ここ3年で、受賞した女子学生は受賞者の38%もいました。女子学生の構成比率は13%程度ですので、活躍する女子学生が多いのがわかります。高い目的意識を持った学生は性別にかかわらず研究・学業、課外活動で伸びています」

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