鉄腕アトムやドラえもんなど、幼いころからロボットが活躍したり人間と仲良くなったりするコンテンツに親しんできたことも理由のひとつだと思われます。
これは、研究の世界にも少なからず影響があると思います。なかには「自分は神様でもないのに、人間を凌駕しかねないロボットを作り出してしまって本当にいいのか?」と葛藤している研究者がいてもなんら不思議ではありませんが、日本ではむしろ積極的にロボットのいる未来を描き、アニメのような世界を実現するための研究が進んできた経緯があります。
宗教的感覚が大きく影響
現実の世界にロボットが登場しても、日本で育った人に見えているのは、あくまでポジティブで、共存が可能な世界というわけです。
じつは、ChatGPTを世界でもっとも肯定的に受け止めているのは、日本人です。海外ではAIが発展、普及することに、宗教的・倫理的立場から抵抗感を示す人がいるのに対して、日本ではそうした声をほとんど聞きません。そして実際にChatGPTに対するトラフィックは、アメリカ、インドに続いて日本が多く、両国との人口比で見れば、圧倒的に日本人が生成AIを好んでいることが受け取れます。
2023年春にChatGPTを開発しているオープンAIのサム・アルトマンCEOと岸田文雄首相が面談していましたが、おそらく日本人とAIの相性のよさ、そして日本のマーケットとしての大きさに注目しているからこそ実現した面談なのではないかと推測します。
日本人のこうした気質は、AIやロボットの普及の段階にも影響があると見られます。たとえば既存の病気や病変であればほぼ見逃さないAI医師ロボットができたとします。彼から病名や治療方針を伝えられて、はたして患者として信じることができるかどうかについては、やはりロボットに対する宗教的な感覚、文化的な背景が少なからず影響を与えるであろうからです。
日本には、こうした心理的な障害が少ないというメリットが確かにあります。
これもまた、開発も普及もしやすい環境を作る要因になります。