「詐欺防止」という点では有効
まるで、普及が進まないマイナンバーカードを政府が“ゴリ押し”するために、携帯電話契約にかこつけた施策のようにも思えるが、詐欺防止という観点では「妥当性」もある。
警察庁によると、SNSを悪用した詐欺被害は、今年の1〜4月で2508件発生しており、被害総額は約334億円に上る。その詐欺行為のほとんどが不正に入手した携帯電話から行われており、1日に約3億円が被害に遭っている計算になる。政府としては、この不正入手経路を断つためにも、マイナンバーカードによるIC確認が不可欠だ、としているわけだ。
「偽造したマイナンバーを使って他人になりすまし、勝手に機種変更をしてスマホを乗っ取り、ネットバンクから不正送金が行われたりするSIMスワップ詐欺などが多発していることは事実です。マイナンバーカードを使った身分確認は目視で行われることが多いため、犯罪に利用されてしまうことが少なくありませんでした。今回は、携帯事業者にマイナンバーカードのICチップ読み取りを義務付けることで、偽造マイナンバーカードによる被害を食い止める狙いがあることは確かでしょう」(全国紙記者)
実際、自宅でマイナンバーカードを偽造したとして、昨年12月には大阪に住む中国籍の女が逮捕、今年5月にも別の中国籍の男性らが同じ容疑で逮捕されている。