
「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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すばらしい快挙でした。ゴルフの笹生優花選手が、全米女子オープンで3年ぶり2度目の優勝を果たしました。日本勢のメジャー大会2勝は、男女を通じて初とのこと。
大学時代にゴルフ部だった私も生中継で見ていましたが、その勝ち方もすごかった。終盤、残り数ホールで、2打差で首位だった笹生さん。ここで思い切りスプーン(3番ウッド)を振り抜けばワンオンしてまたスコアを伸ばせる。でも失敗したときは、痛い見返りもあるかも……そんな場面がありました。
大きな一発を狙わずにここは堅く守りの姿勢でスコアを守る。そんな選択肢もあったはずです。でも顔色も変えずにスプーンを振り抜き、堂々と勝利を手にしました。
皆が「そこ、チャレンジする?」と驚くような場面でも、平然とやりきってしまう。心身ともに研鑽を積み重ねてきた結果だったと思いますし、すごい選手が出てきたなという思いを新たにしました。
前回、同じ全米オープンで優勝した時はフィリピン国籍。その後20歳で日本国籍を取得し、試合後のインタビューでは、「前回は母の出身国のフィリピン代表として、今回は父の出身国の日本代表として優勝できた。今回の優勝は父に捧げたい」と涙ながらに語っている姿を見て、一人の人間としても素晴らしいなと深く心に残りました。

いよいよ次はパリ五輪。ぜひ金メダルを取って、次は「自分へのご褒美」と言える結果になればいいなと、心から期待しています。
もっと先の将来を見すえれば、ジャック・ニクラウスやタイガー・ウッズ、女子ではアニカ・ソレンスタムのような往年の名選手に肩を並べるような、そして世界のメジャータイトルを総なめにするような、そんな名選手に成長してほしい。楽しみな気持ちとともに、これからも応援したいと思います。
※AERA 2024年7月1日号