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 日本銀行は3月にマイナス金利政策を解除し、今後は利上げが見込まれている。金利が上がると預金や株式の利子や配当が増える一方で、借金にかかる利息も膨らむ。「金利のある世界」ではどんな心構えや備えが必要か。家計への影響を試算した専門家に聞いた。

【試算を見る】デメリットはどんな世帯でいくらくらい?

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 金利の上昇に伴い、全世帯平均では差し引きで最大年7.7万円のメリットが生じる――。みずほリサーチ&テクノロジーズは4月、こんな試算をまとめた(次ページの表)。

 試算では、この先、日本経済が力強く成長し、物価高や賃金増が進んで日銀が政策金利を段階的に引き上げると想定。2年余り後の2026年末時点で、政策金利が今の0~0.1%程度から2.75%に上がり、長期金利も同時点で3.5%に上昇すると仮定した。ただし、今の状況から考えると「相当高い」金利環境を前提としているという。

 こうした金利のある世界では、家計にはプラスとマイナス両面の影響が生じる。

 まず、マイナス面は、住宅ローンの利払い負担が増える。政策金利の上昇に伴い変動金利型ローンの借入金利は22年度平均の0.4%から26年度に2.9%へ、長期金利の上昇で固定金利型の借入金利は1.6%から4.5%へとそれぞれ上がる見通しだ。

 その結果、26年度には金利が上昇しないケースに比べて年10.1万円の負担増となる。

 一方、期待できるメリットは、預金や有価証券といった金融資産から得られる所得の増加だ。インフレのもとでは企業の業績もよくなり、給料の上昇や配当の増加も見込める。

 みずほリサーチ&テクノロジーズの試算では、普通預金の金利は22年度の0.001%から26年度に0.4%へ、10年物定期預金の金利は0.4%から2.4%へ上がると想定されるという。

 金利のある世界では、普通預金から定期預金や個人向け国債、さらに株式や投資信託といった、より収益性の高い資産へのシフトも進むと考えられるという。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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