ローソンストア100 東日本運営本部 副本部長 林弘昭(はやし・ひろあき)/1978年生まれ、千葉県出身。2002年、九九プラス(現ローソンストア100)入社。21年に「だけ弁当」シリーズを発売。これまでの6種類に加え、第7弾の発売を準備中(撮影/写真映像部・東川哲也)
ローソンストア100 東日本運営本部 副本部長 林弘昭(はやし・ひろあき)/1978年生まれ、千葉県出身。2002年、九九プラス(現ローソンストア100)入社。21年に「だけ弁当」シリーズを発売。これまでの6種類に加え、第7弾の発売を準備中(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。昨年の6月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2023年6月3日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【写真】大反響! ホラン千秋「鬼ヤバ弁当」の中身はこちら

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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2023年6月5日号にはローソンストア100 東日本運営本部 副本部長の林弘昭さんが登場した。
 

 ウインナー5本と白飯。卵焼き8個と白飯。どちらもローソンストア100(本社・神奈川)で異例のヒットを飛ばすおかずが1種類だけの弁当だ。「絶対売れる自信があったんですが、やっぱり売れちゃいました」と豪快に笑う。

 弁当といえば、見栄えの良さや品数の多さが重視されがちだが、それとは無縁の「だけ弁当」。運営畑一筋を歩みながら、商品部に10年越しで交渉し続けた結果生まれた、常識を覆す弁当だ。

 開発のきっかけは、何で世の中にはウインナーがメインの弁当が売っていないのか、という自身の素朴な疑問だった。「ウインナーとかミートボールとか卵焼きとか。とってもおいしいのになぜかメインじゃないですよね。でも好きなおかずだけを思う存分食べたい人もいると思ったんです」。店舗で毎日のように買い物客の動向にアンテナを張っているからこその発想だった。

 商品部に企画を持ちこむも、答えはNO。「売れるわけない」「見た目が……」。前向きな意見は一つも寄せられなかったが、何度却下されても諦めずに訴え続けた。

 商品化を困難にした理由はもうひとつあった。本体価格は200円であること。ウインナーは5本入れること。「これだけは絶対に譲れない条件として提示しました。それで原材料の調達や製造ラインの調整がなかなかうまくいかなかったんです」。しかし、どんなに断っても変わらない熱意に、最後は商品部がほだされた。

 忘れもしない2021年6月30日。初めて店頭におかずがウインナーだけの弁当が並んだ。あっという間にSNSをにぎわせ、累計販売数は約166万食(3月末時点)に上った。昨年11月にはシリーズ第6弾となる「玉子焼弁当」が発売され、こちらも順調に売り上げを伸ばしている。

 新たな「だけ弁当」の企画、商品化に奔走するが、本来の店舗運営の仕事も決して手は抜かない。徹底した現場主義を貫き、毎日のように各店舗に出向いて商品の売れ行きや買い物客の動きを確認する。店長やオーナーとのコミュニケーションも大切にしている。

「現場が楽しくないと商品は売れません。現場の声をとにかく聞いて、売りたいと思ってもらえる環境をつくることが私の使命です」

(ライター・浴野朝香)

AERA 2023年6月5日号

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