ハルメク編集部 編集長:山岡朝子さん/1974年生まれ。出版社で7誌の編集長を歴任後、2017年8月から「ハルメク」編集長。21年6月からハルメクホールディングス取締役(撮影:写真映像部・和仁貢介)

「女性が年を重ねていくことによって、例えば体の悩みが出てきたりとか、あるいは仕事や子育てが一段落して時間ができたから、何か新しいことをやってみたいという気持ちが芽生えたりするのは普遍的なこと。『ハルメク』のコンテンツそのものに対する需要は不滅だと思っています。ただし今のような紙中心のスタイルでこの先も続けていけるかというと、やはり疑問ですよね」(山岡さん)

 そこで、20年後の読者に向けても用意したというプラットフォームが「ハルメク365」だった。動画や講座などのオリジナルコンテンツも、ターゲットを従来の雑誌のハルメクより若い層に設定して、用意している。

「不特定多数の方に見ていただいて広告収入で利益を上げるという目的のものではありません。コミュニティーや信頼感など、紙で提供してきた価値をそのままウェブで実現するにはどうしたらいいだろうか。そんな答えをもとめて、実験的なトライアルとして始めたというのがいきさつです」(同)

 目指すのは、ウェブになっても、紙の雑誌と同様にユーザーに寄り添い、信頼性の高いコンテンツを提供すること。そして参加者同士に仲間意識が芽生えるような熱量の高い場所を作ること。たとえば雑誌のハルメクでは読者の投稿ぺージが大人気だが、そのような共感や温かみをウェブでも大切にしているそうだ。

 試しにハルメク世代の自分も、ハルメク365のサブスクに登録してみた。早くも「らしさ」が見えたのは、「ハルメク365」の登録画面をスマホで打ち込んでいるときだった。

 仕事柄自分は無数のサイトやアプリに登録しているが、いつも暗い気持ちになるのが生年月日の登録画面だ。プルダウンメニューには若いほうの生まれ年から上り順に出てくることが多いため、いくらリールを回してもなかなか自分の生まれ年にはたどり着かないことも多い。

動画や講座も提供

 もしやこのサイトは、自分を歓迎していないのでは?というひねくれた気持ちも湧いてくる。ところが、そこはハルメク365。1900年から下り順で生まれ年を選べるという少数派の仕様で、私の心にもしっかりと寄り添ってくれる。たったこれだけだが、あっという間に仲間意識が芽生えた。

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