働く女性の新たなトレンド「フルキャリ」。暮らしにも子育てにも仕事にも意欲的に取り組みたいと考える働き手の総称で、2015年に野村総研が提唱した(写真:写真映像部)
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 フルフレックスやフルリモート、業務委託契約など働き方が多様化する中で、働く女性の仕事に対する意識も多様化かつ細分化している。バリキャリ派、ゆるキャリ派に加わえて、新たなトレンドになっているのが仕事もプライベートも両方の充実を求める「フルキャリ派」だ。AERA 2024年6月24日号より。

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かつては「働く」女性は大きく二つに分かれていた。キャリア重視でバリバリ働く「バリキャリ派」と、プライベート重視の「ゆるキャリ派」だ。最近、そこに「仕事もプライベートも同じ熱量で向き合いたい『フルキャリ派』」が加わり、新たな潮流になりつつある。

 アエラのアンケートにも、それぞれの「派」に該当しそうな女性の声が寄せられている。まずはバリキャリの片鱗がうかがえる回答者から紹介しよう。

「職場に女性管理職のロールモデルがなく、自分が能力を発揮して役に立っているところがイメージしづらい」と嘆く広告業界の管理職の女性(46)。今後の自身のキャリアについては「自分の役割は自分でつくっていくので見てろよ、って思っています」と闘志にあふれる。

 コンサルティング会社に勤務する管理職の女性(35)は、社会人大学院に通いながら仕事を続け、出産後は2カ月で復帰。その2年後に大学院を修了し、管理職昇格を果たした。「大前提として、能力を高めた結果として管理職になるものだと思っています」ときっぱり。

 一方、プライベート重視の「ゆるキャリ派」。都内の教育・学習支援関連の仕事に就く係長級の女性(46)は働くことが「好き」としながらも、働き方については「プライベート重視。キャリア志向はなく、生活水準を保つ給与を得られればよい。残業などはほとんどしないでよい職場にかぎる」と割り切る。ほかに、「午後5時には帰宅し、家族との時間を大切にできる働き方をしたい」(群馬県・40歳の会社員女性)といった声も。

細分化する女性たち

 トレンドの「フルキャリ派」はどうだろう。アンケートでは仕事もプライベートも「両方とも全く諦めていない」という回答が目立った。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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