「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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今年は私たちローソンにとってとても意味のある年です。
ローソンの始まりは1975年6月14日、大阪府豊中市南桜塚にオープンした1号店「桜塚店」でした。つまり今年は創業49年。いよいよ来年は50年を迎える記念すべき年になります。
「いよいよですね」と少し前からよく聞かれるようになりました。2、3年前まではいつも「楽しみです」と答えてきましたが、このところ少し思いに変化が出てきた気がしています。
いよいよ本当にその記念すべき年が近づいてくると、もう「その次の50年」に思いをはせることが多くなってきたんです。
もちろん、ワクワクドキドキする気持ちもあります。その一方で、社員皆で力を合わせて成長し、会社自体も成長して、社会に貢献できるような企業グループになっていけるか。次世代にはどんなバトンを渡していけばいいのか──緊張感と使命感、責任感が同時に湧いてくるような、そんな感覚が出てきました。
この50周年を次に向けての起爆剤にして、次の50周年に弾みをつけて入っていきたい。そんな思いがどんどん強くなってきています。
具体的には、目指している「リアルテックコンビニエンス」をグローバルに展開していくこと。店舗にロボティクスを導入等、さらなる自動化も進めることになると思いますが、ただそんな状況になっても「人」が大事であることに変わりはありません。50年後も「人の温かみのあるリアル」を見せ続けるローソンでありたいなと考えています。
つまり「人の温かみのあるリアルな店舗を持つテックカンパニー」になれるかどうか。「リアル発」でテックカンパニーになった企業は他に例がありません。GAFAと肩を並べるような、そんな存在を目指す。次の50年の大きな挑戦だと思っています。
※AERA 2024年6月24日号