37歳での高齢出産をした雅子さまの運命は、この国を生きるある世代の女性たちにはどこかトゲのように突き刺さってきた。外交官という仕事を辞めたからには皇室外交をもっともっとしたかったのではないか。男子を産むプレッシャーはどれほどのものだったか。産むまでにどれほどの体験をされてきたのか。だからこそ、雅子さまが産んだ大切な女の子であった愛子さまの成長は、私たちの奥底に突き刺さったトゲの傷を癒やすような力を持つ。もし世論の声がさらに大きくなり、女性天皇論への道が開かれるならば、それこそ、雅子さまが人生をかけてこの国の皇室を「変えた」ことになるだろう。雅子さまが大きな意味で報われる、大きな意味でこの国の皇室を変える、そういう「結末」を私たちは見たいのかもしれない。

 皇室典範の書き換えに向けて、どのような結末を迎えるだろう。イギリスのポップなマグカップ感に比べ、日本の皇室の重たさの根にある男尊女卑。「これは性差別ではない、伝統だ」という人は多いが、性差別とはそもそもそのように言われ、肯定されてきたものである。その結末によっては、この国に様々なレベルで残る男尊女卑の意識にやはり影響を与えるのだろう。せめて女性天皇を認める方向での合意を望みたい。

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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