S社にも取材のため何度も連絡したが、
「担当者が不在」
 と繰り返すばかり。

 そこで、S社で交渉を担当した元市職員に聞くと、こう話した。

「私は大阪市の職員でしたが、辞めたのは10年以上前です。日本酒を持参した課長は知っているが、その席に私はいなかった」
「大阪市は、仕様書も出さずに緊急だというので、いわば男気を出して受けた事業。クジラの海洋投棄は、1カ月後でもいいという内容なら2000万~3000万円でもできましたが、緊急で、ほかのすべての作業を止めてあたるので、倒産のリスクまであります。総額が8000万円というのは最後までぶれていません。むちゃな積算をしていないからです。大阪市がうちを『ぼったくり』と言っているそうですが、嫌ならやめればよかっただけ。仕様書も契約書もなく、作業をしてから費用の交渉を細かくしてきたので、こちらも怒りますよ。すると大阪市は『市長選も近いから』と言い出して、政治的なこともあるのかと感じました」
「クジラの件でもめたことで、S社に迷惑をかけることになるので、私は会社を辞めました」

「献金とクジラの処分とはまったく関係ない」

 維新に政治献金をしていたS社の創業者も直撃した。

 まず、編集部が入手したS社の「見積書」を見せると、創業者は、
「やっぱり高い。二重、三重の請求だ」
 と曇った表情を見せた。

 ――クジラ処分の費用が高すぎると疑惑になっているが。
「今、S社は息子に任せているので詳細を知る立場にない。ただ、S社の得意先の大手サルベージ会社に聞くと8000万円じゃなく、800万円でやれるともいう。なぜそんな高い随意契約になったのかな」

 ――維新に献金をしている。その関係でも疑惑の目が向けられかねないのでは。
「私は維新創設時から後援会にも入り、パーティー券も買い、家にポスターも貼っています。昨年は、もちろん大阪市長選などでも維新を応援しました。しかし、今回のクジラの処分とまったく関係はない。100万円の寄付も事実だが、私は献金したから仕事くれなんてことは大嫌い。頼んだこともない。大阪市や維新も忖度することはないはず」

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創業者は「8000万円は高いでしょう」