ヘンリー王子とメーガンさん(写真:ロイター/アフロ)
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 王族の結婚のあり方も時代とともに変わってきた。英国王室の結婚を見ると、変化の様相がよくわかる。AERA 2024年5月27日号より。

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 一般人の結婚と違うのが王族の結婚。かつては他国の王族との結婚により同盟関係を作り戦争を回避するといった「政略結婚」が行われていた。日本の戦国時代もそうだ。

 世界の王室に詳しい関東学院大学の君塚直隆教授はこう言う。

「英国に限らず、欧州の王室の結婚で長らく重要視されていたのは『釣り合い』です。王位継承権の問題があるので、王位継承者の結婚相手は、君主である王家の子どもでなくてはならず、身分違いの結婚は許されませんでした。ただ、“いとこ同士の戦争”とも呼ばれる第1次世界大戦で王室の結婚が変わりました。ドイツと対立したイギリス・ロシアの3人の君主はいとこ同士。王家同士の結婚がかえって混乱を招き、それ以降、王位継承者の結婚は王家同士のものではなくなりました」

 王位継承権についても、男女同権意識の高まりと安定的な王位継承のために、日本の皇室と違い、多くの欧州の王室で男子優先から長子優先に変わった。

「欧州で最初に王位継承法が男女平等になったスウェーデンでは、王位継承順位1位のビクトリア王女が元スポーツトレーナーのダニエルさんと結婚しています。当初、国王は大反対、国民も批判的でしたが、理由は『庶民だから』ではなく『女王の夫にふさわしい教養がないから』。ダニエルさんは必死に歴史や法律、語学などを勉強し、7年かけて国王に認められました。王室の結婚は、庶民の結婚以上に強い愛と覚悟が必要と言えるかもしれません」(君塚教授)

王室の存続をかける

 英国王室関連の著書が多数あるジャーナリストの多賀幹子さんは「結婚は王室の存続をかけた最も大事な仕掛け」と指摘。「だから結婚に求めるハードルは高かった。チャールズ皇太子(当時)の場合、カミラ夫人(同)との結婚に反対し、若く美しく健康的で、男性関係の噂がないダイアナさんとの結婚をお膳立てした。名門貴族の出身で、王室の伝統やルールにすんなり馴染んでくれるだろうという期待もあった」(多賀さん)

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