牛窪恵さん(うしくぼ・めぐみ)/世代・トレンド評論家。マーケティング会社「インフィニティ」代表取締役。著書に『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)ほか(写真/本人提供)
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 大人世代にとって「結婚には恋愛が必須」という考え方は根強いが、もはや時代にそぐわなくなっているという。どういうことなのか。世代・トレンド評論家の牛窪恵さんに聞いた。AERA 2024年5月27日号より。

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「結婚」とは、恋愛したその先にあるもの──そう思っている人が多いと思います。でも私は「結婚に恋愛は必ずしも必要ない」と考えています。

 恋愛と結婚は初めからセットだったのではありません。17世紀の欧州では愛人を持つことも当たり前。それが18世紀の産業革命のころ、家内制手工業から「男性は外に出て働き女性が家庭を守る」という社会に変化、その構造を維持するために、恋愛の延長線上に「家族愛」が置かれた(=一体化)と言われます。その点は高度経済成長を経た1970年代に恋愛結婚が定着した日本も似ています。

 でも現代は「男は外、女は家」ではなくなり、その構造維持のための恋愛結婚も、もはや時代にそぐわない。そこに若い世代は気づいています。国立社会保障・人口問題研究所の調査では、男性の半数近くが妻となる女性に「経済力」を求め、女性の9割以上が夫となる男性に「家事・育児の能力や姿勢」を求めているという結果も。若い世代が「恋愛」と「結婚」に求めるものは真逆に近いんです。問題は「結婚には恋愛が必須だ」と信じて疑わない大人世代。時代の変化に気づかず、未婚率の増加や少子化を憂うのは無責任ではないでしょうか。

 私が提案したいのは恋愛感情よりも信頼を軸にする「共創結婚」という形。恋愛で100%盛り上がって結婚しても、その情熱は3年程度しか続かないことが脳科学的に立証されています。最初から完璧な関係でなくてもいい、むしろ結婚生活を始めてから共に対話、アップデートして理想形を創っていく。その工程こそが大切だと思います。

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2024年5月27日号

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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