「インスタグラムなどSNSで、本町通りの車道の真ん中から富士山を撮ることがはやっているみたいなんです」
撮影者が特に多いのは、本町通りの北端に位置する「下吉田観光案内所」の前だ。この一角にスマホやカメラを構えた外国人がぎっしりと集まっている光景は、異様だ。
同市は昨年2月から警備員3人を配置し、交通事故が起こらないように目を光らせている。
いつ事故が起こってもおかしくない
観光案内所の前は交差点で信号機がある。外国人が赤信号を無視して道路を渡ろうとするたび、「シグナル、レッド、バック!」と、警備員が大声で注意している。だが、交差点から離れた場所で、車道に出て撮影する外国人は引きも切らない。
最近、この場所もツアーバスのルートに組み込まれたようで、一度に大勢の外国人が押し寄せるようになった。警備員3人でも対応が難しい場合があるという。
「京都で問題になっている『オーバーツーリズム』とは違うんです。観光客があふれているのは、ほんの一角ですから。商店街の皆さんと話しても、外国の方に来ていただくのは大歓迎だという。でも、車道に飛び出されてしまうのは困る」(勝俣課長)
幸い、本町通りでは写真撮影が原因の外国人の交通事故は発生していない。しかし、いつ事故が起こってもおかしくない状態であることは記者が身をもって体験した。
昨日も道路に飛び出して
4月25日、河口湖畔で国道を横断していた外国人観光客が、町民が運転する軽乗用車にはねられ、意識不明の重体となった。湖畔では撮影のために横断歩道のない道路を横断する外国人が後を絶たず、以前から事故の危険性が指摘されていた。
神戸から富士山の撮影に通っているという日本人男性は、外国人観光客たちを横目で見ながら、こう語った。
「昨日もバスが来ているのに外国人が道路に飛び出して、あわやひかれる寸前でした。運転手はめちゃくちゃ怒っていた。事故がないように、ただ祈るばかりです」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)