18日放送の「さんまの向上委員会」(フジテレビ・毎週土曜午後11時10分)では、これまで数々の芸人の再生を考えてきた委員会が「SECONDステージを考える会」として、今後のウエストランドの未来を考える。ゲストのひとりウエストランドの井口は岡山芸人なのになぜ標準語なのか? 過去の記事を振り返る。(「AERA dot.」2023年2月4日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)
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『M-1グランプリ2022』で優勝したウエストランドの2人は、岡山県津山市出身の同級生コンビである。コンビ名の「ウエストランド」も、地元にあった商業施設の名称を借りたものだ。彼らが優勝した後、その商業施設内のスーパー・マルイでは優勝記念セールが行われた。
『M-1』で優勝した芸人は一躍時の人となり、そのプロフィールや一挙手一投足にまで注目が集まる。そんな中で地元である岡山にもスポットが当たり、彼らと岡山とのかかわりがさまざまな形でバラエティ番組などでも取り上げられるようになった。
これまでは「岡山芸人」というと多くの人が真っ先に連想するのは千鳥の2人だった。千鳥の大悟は自分のことを「ワシ」と呼び、ノブは「◯◯じゃ」といった方言を多用する。岡山から大阪に出てきて、そこで数年活動していた彼らは、岡山弁と関西弁がブレンドされた言葉を操り、岡山芸人として世間に知られるようになった。
そんな千鳥に比べると、ウエストランドの2人にはそこまで岡山出身のイメージがない。井口浩之も河本太も、人前で話すときにはほとんど方言を使わないからだ。河本からはポロッと地元なまりの言葉が出てくることはたまにあるが、井口はほぼ口にすることはない。そのため、これまでの彼らは岡山出身であると意識されないことが多かった。
芸人たちが東軍と西軍に分かれてネタで対決する1月1日放送の特番『ドリーム東西ネタ合戦2023』(TBS)でも、西日本出身の彼らは東軍に所属していた。
彼らが岡山芸人だと思われていない最大の理由は、圧倒的に口数の多い井口が、ほとんど岡山弁で話さないからだろう。なぜ彼は人前で方言を使わないのか。
実のところ、ほとんどの地域の人間にとって、テレビに出るときに方言を使わないのは当たり前のことだ。方言とは地元の人同士のプライベートな会話で使われるものであり、人前に出るときには不特定多数の人に伝わるように標準語を用いるのが普通だからだ。