アクシデントすら笑いに

「8年前(16年上演「熱闘老舗旅館 ヒミツの仲居と曲者たち」)に出演させていただいたときに、東京喜劇に生で触れさせていただいて。本番が始まっても手直しを入れて、とにかく日々進化するかたちで毎回お客さんを笑わせていくっていう三宅裕司さんの演出の仕方や、一座のみなさんの舞台に込めるエネルギーを味わわせていただいたし、お客さんの笑いを受けると、こちらまでパワーをいただけるというか(笑)。ぜひまた参加させてほしい、一座の一員になりたい、って気持ちになるのは私だけじゃないだろうなと。しかも今回は、なかなか板の上(※舞台)でご一緒できる機会のない伊東四朗さんとの共演ですし、歴史的な公演に入れていただけるっていう喜びは大きいですね」

 今回演じるのは、“ちょいワル淑女”の東京都知事役だ。

「ちょっと癖が強い役で(笑)。最初の取り組みとしては、“ちょいワル”じゃなく思い切ってやることだと考えています。本番でどこまで成立しているのか、楽しみに待っていただけたら」

 熱海五郎一座ならではのよさは「アクションも歌も、エンターテインメント性もありながら、笑いを畳みかけていき、最後にちょっといいストーリーになるところ」にあるが、とりわけ「舞台ならではのアクシデントすらも笑いに転換していくかじ取りのセンスがすごい」と松下さん。

「もちろんちゃんとストーリーが作られていて、アドリブのように見えても台本に沿ったセリフだったりもするんですけど、でも、どこからがアクシデントなのかわからない(笑)。ミスすらもまるで作られたかのように思わせてしまうんです」

 例えば、松下さんが前回出演したときは、「(春風亭)昇太さんのカツラが飛んだ」という実質的なアクシデントも起きたそうだが、それすらも「もう全然取り戻していける、一座のみなさんのセンスがすごいですね」

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